インタビュー 森下 幸路(首席ソロコンサートマスター)
2016-04-01
— 森下さんの首席ソロコンサートマスター就任は、2001年10月でしたね。
もう15年になりますね。(当時の音楽監督・常任指揮者の)曽我大介さんに誘われて来たんです。その間に、このオーケストラはすごく変わりました。機能的になったと思うんです。その頃から機能性など、熱き想いでスタートした楽団が客演を含め様々な指揮者から我々が学んだことが多いように感じます。曽我さんを継いで、ミュージックアドバイザー・首席指揮者となった大山平一郎さんが弦楽器のトレーニングをしてくださったことも大きかった。
—(前音楽監督・首席指揮者の)児玉宏さんとの8年間はいかがでしたか。
音楽的にストレスのない演奏ができるんです。とても自然な流れがあって、児玉さん個人の呼吸感を押し付けないんです。他にそういう指揮者はいません。未知の作品を数多く演奏してきたことで、読譜力もきたえられました。
— さて、4月から外山雄三さんをミュージック・アドバイザーとして迎えますね。
一番の大きな期待は、日本のクラシック界を牽引してきた第一人者である外山先生から倣うことが多いということ。ストラヴィンスキーの指揮で演奏したという人ですからね。あと、私が仙台でコンサートマスターのキャリアを始めたのが外山先生となので、原点にかえることができるという個人的な企みもあります。
— コンサートマスターを務める上で気をつけていることは、何でしょう。
自己陶酔しないことです。ただ、常に冷静でいて、自分をコントロールしての音楽創りというものは、非音楽的だと思うんですよ。そのジレンマに苦しめられます。感情を制御しながらも、自然な息遣いで演奏できることを目指したいです。そのためには日頃の生活から、そういった心根でいないといけないと思っています。
— コンサートマスターをする時と、ソロや室内楽の時のバランスはどうやって取るのですか。
これは、必ずできると信じているとしか言いようがないんです。ただ、呼吸感は変えています。ソロや室内楽では、小さな作業がたくさんできるんですが、オーケストラは小回りがきかない。急ブレーキ、急発進はオーケストラではできないんです。大所帯だから鋭い息遣いが不自然になります。落ち着いた呼吸を心がけています。
— これからの大阪交響楽団でしていきたいことは。
この楽団ができた初心というのは、熱い思いで敷島博子さんが作ったわけですから、それを忘れずにやりたい。絶え間ぬ努力をし続けるオーケストラでありたいんです。創立の当時の気持ちを忘れないで、一回一回のコンサートをしっかりやっていきたいなと思っています。
森下幸路 写真:(C)飯島 隆
聞き手/小味渕彦之(音楽学・音楽評論)
~プログラムマガジン2016年4・5号掲載~