インタビュー 坂口 雅秀(ヴィオラ奏者)
2018-07-23
— 入団はいつですか?
ルーマニアに演奏旅行(2002年12月)へ行った頃でした。それ以前に、エキストラでヴァイオリンでも来ていたのですが、雰囲気が自由で、個性のあるオーケストラだという印象を持っていたんです。弾いていて楽しいなと感じていました。毎回毎回チャレンジができるんです。今でもその思いはあります。
— ヴィオラで入団されたんですね。
ヴァイオリンと両方弾いていたんですが、入団を機にヴィオラに専念しました。気持ちいいんですよ、ヴィオラは。音域もオーケストラの中での役割も好きです。目立たないように隠し味に徹する一方で、時々、スパイスのような刺激も求められます。
— 最初、ヴァイオリンを始めたきっかけは。
小学校4年生の時に、父から「柔道か、ヴァイオリンか、どちらをやるか選べ」と言われて、「柔道は痛そうだな」と思って、ヴァイオリンを始めました。音楽は小さい時からずっと好きでした。リズムを刻むことに興味があったんです。タイヤに巻きつけたチェーンが、回転と共に一定のリズムになるのを眺めるのが好きだったりもしました。専門的に楽器を始めたのはヴァイオリンが初めてです。
— ヴァイオリンを職業にするきっかけは?
実は「なんとかなるわ」というつもりできました。ヴァイオリン以外できないだろうなと思っていたところはあります。大阪教育大学を卒業して、ヴァイオリンで仕事を始めたんですが、大学の先生のつながりで、少しずつエキストラにも呼んでもらえることができて、音楽家同士のヨコの関係も作ることができました。本当に何にも考えていませんでしたが、10年ぐらいはフリーで活動しました。
— 入団して生活は変わりましたか。
同時期ぐらいに結婚したんです。引越しもして、大幅な変化でした。周りもびっくりするぐらい、すぐにオーケストラには馴染めたように思います。
— 近年、オーケストラとして変わってきたことは
メンバーが増えて、個人個人の自由も持ちながら、オーケストラとしての方向性が出てきたように思います。
— 印象に残っている演奏会はありますか?
少し前ですが、ヴラディミール・ヴァーレクさん(2004年9月から2008年3月まで、首席客演指揮者)が指揮する本番のときに、棒を振っている姿がすごく大きく見えて、エネルギーが迫ってくるのを感じました。ああ、これが本物だなと。
— ヴィオラ以外に楽しいことは?
植物や鳥が好きなんです。妻も好きなので、一緒に「今日は大阪城公園に、三光鳥が2羽いたよ」とか言い合っています。三光鳥って「月、日、星、ホイホイホイ」って鳴くんですよ!
坂口雅秀写真(C)飯島 隆
聞き手/小味渕彦之(音楽学・音楽評論)
~プログラムマガジン2018年度7・8月号掲載~