インタビュー 細田 昌宏(ホルン首席奏者)
2016-07-01
— 細田さんが楽器を始めたのは。
フルートはずっとやっていたのですが、ホルンは17歳の高校生の時に吹奏楽で始めました。子供の頃から大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏会をよく聴きに行っていたんです。大阪フィルのホルン奏者、近藤望さんに憧れて、この楽器をやってみたいと思っていました。NHK交響楽団のベートーヴェンの「第九」の演奏会で、N響の千葉馨さんが吹くソロを聴いて大きな衝撃を受けたのもきっかけです。ズデニェク・コシュラーの指揮でした。ホルンを始めてすぐの頃、大阪市ユースオーケストラで延原武春さんの指揮に鍛えられました。トーマス・ザンデルリンクさん(1992年から2000年まで、大阪シンフォニカー時代の音楽監督・首席指揮者)との出会いもこのオーケストラでです。実家が淀屋橋で喫茶店をやってて、音楽家や音楽関係者がよくお客さんで来ていて、大阪フィルの扇町の練習場にも毎日のように自転車で通いました。ホルンは大阪フィルの西田末勝先生に習いました。プロとしての活動は、テレマン・アンサンブルが最初になります。その後、ザンデルリンクさんの熱心な誘いで大阪シンフォニカーで演奏するようになりました。当時はがむしゃらな楽団でしたが、ザンデルリンクさんの奮闘が功を奏して、飛躍的な伸びをオーケストラとしては成し遂げたと思います。
— ホルンの魅力って何でしょう。
時には和音を作り、またソロがあって、指揮者の求める音楽と曲想に合ったソロを吹けるかどうかという挑戦です。金管楽器の中で一番小さなマウスピースで一番長い管を吹く難しさを、何年たっても痛切に感じます。コンディションに左右されることも多いし、何十回やっている曲でも、毎回違うんです。これはホルンの永遠の課題かもしれません。フォルテッシモで吹いた後に、いきなり小さな音でソロを吹くなんてということも、どのホルン吹きも悩むところでしょう。それでも、経験と共にまず優先させるのは音楽的なことだと思うようになりました。人の肉声に一番近くって、倍音が多くて、ハーモニーを作った時に雄弁で時にはデリケートに、また、刺激的な音が出せる楽器というのが魅力的ですね。バロックから現代に至るまで、これだけ多様に使われる楽器というのも、オーケストラの中での重要性があると実感します。
— これからどんなホルン吹きになりたいですか。
月並みだけど、まだまだ勉強です。年齢が上がって身体能力が衰える中で、それをいかにカバーして、より前向きな演奏ができるように努めていくしかありません。この楽団では、若い人たちがどういう感性で演奏するのかということに、アドバイスとフォローをどういった形でしていくのか。そして、外山先生がそのキャリアをオーケストラにどんな形で与えてくださるのか楽しみです。
細田昌宏 写真:(C)飯島 隆
聞き手/小味渕彦之(音楽学・音楽評論)
~プログラムマガジン2016年度7・8月号掲載~