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第36回 いずみホール定期演奏会 3月4日(水)
指揮:外山 雄三 (C)K.Miura
ピアノ:児玉麻里 (C)Vincent Garnier

第36回いずみホール定期演奏会
古き佳きウィーンの薫り~ベートーヴェンとブラームス~
 
2020年3月4日(水)
<昼の部>14時30分開演 <夜の部>19時00分開演
いずみホール
 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 作品58
 
 ベートーヴェンは1804年2月頃から、新しいピアノ協奏曲と交響曲の作曲に取り掛かった。この協奏曲は、早ければ1806年末には完成。ベートーヴェンの後援者だったオーストリア大公ルードルフ(1781~1831)に献呈され、作曲者の独奏により、1807年3月にウィーンで初演された。ちなみに、併行して作曲していたハ短調の交響曲は、第5番《運命》として結実した。
 この協奏曲は、冒頭からオーケストラに先立って、ソロが謳い始めるのをはじめ、様々な新機軸に溢れる。そして、両者の対話はいっそう緻密さを増し、交響楽的なサウンドを紡ぎ出す。なお、当曲の人気は1836年、フェリックス・メンデルスゾーン(1809~47)が、ライプツィヒで披露して以降、飛躍的に高まった。
 第1楽章:アレグロ・モデラート(程よく速く) 幻想的なソロで開始。“扉を叩く主題”と共通する、同音連打による主題は《運命》との“姉妹関係”を裏付ける一方、対照的な優雅さを紡ぎ上げる。これに対して、第2主題は英雄的。続く展開部や再現部も、常にソロ・ピアノが先導する形で進行する。
 第2楽章:アンダンテ・コン・モート(気楽にのんびりと) 全72小節と短くも愛らしい、「間奏曲」のような緩徐楽章。ホ短調に転じて、管楽器は沈黙し、ソロと弦楽器が親密な対話をする。
 第3楽章「ロンド」:ヴィヴァーチェ(生き生きと) 前楽章からアタッカ(切れ目なし)で続く終楽章。期待感を高揚させる主要主題を弦楽器が奏し、ソロが即興的な要素を湛えつつ登場。だが、優美な印象を持つ副主題は、逆にピアノが率先して呈示するなど、随所に対照の妙が仕込まれている。作曲者による35小節のカデンツァを挟んで、プレストに転じ、一気に幕切れへと駆け抜けてゆく。
 
作曲年代 1804~06/07年
初  演
私的/1807年3月、ウィーン・ロプコヴィッツ侯爵邸
公開/1808年12月22日、ウィーン アン・デア・ウィーン劇場いずれも作曲者自身が独奏
楽器編成
独奏ピアノ、フルート、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部
 
 
ヨハネス・ブラームス(1833-1897)
交響曲 第4番 ホ短調 作品98
 
 ブラームスが52歳だった1885年9月、オーストリア南東部のミュルツツーシュラークで完成。彼は、アルプスの裾野にある同地を気に入り、前年6~9月の滞在中に2つの楽章を作曲。そして、この年も5月末から滞在し、残りの楽章を完結させたのだった。
 10代前半で初めて大バッハの作品に触れて以降、常に古典期以前の先人たちに学び、指揮者やピアニストとして、自身でも演奏を続けたブラームス。モーツァルトの交響曲第40番の自筆総譜をはじめ、数々の貴重な資料を蒐集し、ヨーゼフ・ハイドンが使っていたクラヴィコードも所蔵。クープラン一族の鍵盤作品をはじめ、多くの楽譜校訂も手掛けた。
 そんな彼が、対位法など古来の音楽技法に立ち返り、ロマン派特有の美意識と独自の創意を盛り込んで、結実させたのが、この「交響曲第4番」であった。それは、ロマン派の波の中で失われた、バロックや古典派の美的感覚への回帰を、明らかに意図していた。秘められた情熱を感じさせつつも、深い憂愁を帯び、常に内省的な楽想。それは、1883年秋に完成した、英雄的で外向的な「第3番」と、鮮やかなコントラストを成す。
 第1楽章:アレグロ・ノン・トロッポ(速過ぎずに) 第1&2ヴァイオリンが、オクターヴで提示する第1主題で開始される。その謳い始めの、スラーで括られた下降音型は、バロック期で言う“ため息音型”。その下降音型は常に主導権をとり、寂寞感を醸し出す。木管楽器は半拍遅れで主題を模倣。これもまた、懐古的な手法。そして、木管楽器が奏する第2主題は、凛とした雰囲気が“騎士”にも例えられる。しかし、セオリーならト長調でのはずが、あえてロ短調で提示。渋い色彩感をもたらす。ソナタ形式の中に、主題の変奏や対位法を巧みに織り込んでゆく。
 第2楽章:アンダンテ・モデラート(中庸に歩く速さで) 冒頭でホルンが提示する第1主題は、FとG-D、Cを使用。これは、調性から考えれば、Eを基音とする、中世の教会旋法の一種「フリギア旋法」と捉えられる。このうら寂しい旋律が、甘いロマンティシズムを湛えた第2主題と、絶妙のコントラストを成す。
 第3楽章:アレグロ・ジョコーソ(愉快に速く) 意表を突くハ長調を採るスケルツォ。トリオを伴う三部形式とも、ロンド形式ともとれるような自在な様式で、コントラファゴットやトライアングルも加わり、陽気なバカ騒ぎが続く。その一方、どこか虚しく、シニカルな雰囲気も纏っている。
 第4楽章:アレグロ・エネルジーコ・エ・パッショナート(力強く情熱的に速く) ブラームス以外に誰が、交響曲の終曲に巨大なパッサカリア(シャコンヌ)を置こうと考えたろうか。それは、まさに「バッハをロマン派に蘇らせる試み」だ。8小節の主題は、バッハのカンタータ第150番《主よ、われ汝を仰ぎ望む》終曲のオスティナート・バス(繰り返し低音)に基づく。これは《ミサ曲ロ短調》の、キリスト磔刑を描いた第14曲の和声進行とも密接に関連。続く33の変奏は、パート間の室内楽的な対話や、3本のトロンボーンが加わるコラール、嵐のごとき全奏など、息詰まる変容を見せる。その展開法は、ブラームスが研究した過去の音楽のみならず、チロルなどの民俗舞曲からの影響も指摘される。
 
作曲年代 1884~85年
初  演
1885年10月25日、作曲者自身の指揮、マイニンゲンにて
楽器編成
フルート2(うち1名はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、トライアングル、弦5部
 
  (C)寺西 肇 (音楽ジャーナリスト)(無断転載を禁じる)        
 
        
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