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2019年度 名曲コンサート 曲目解説

 
 
第106回名曲コンサート  5月18日(土)
佐藤 俊太郎

 
夏の夜の夢
 
 
2019年5月18日(土)
昼の部 13時30分/夜の部 17時00分 開演

 

 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467
 
 35年という短い生涯のうちに、モーツァルト(1756〜1791)は27曲のピアノ協奏曲を書いているが、そのうち最初の第1番から第4番までは他人のクラヴィーア曲の編曲であり、自身の作品は23曲ということになる。それらは大別して3つのグループに分けられ、その第1群は第5番から第10番までの6曲で若い頃のザルツブルク時代の作品、第2群はウィーン時代前期(1782〜1784)の第11番から第19番までの9曲、そして第3群はウィーン後期(1785〜1791)の第20番から第27番までの8曲である。つまり全23曲のピアノ協奏曲のうち、17曲がウィーン時代に書かれたということである。
 1781年、モーツァルトはザルツブルクでの宮廷音楽家としての生活を打ち切り、ウィーンで自活を始めた。数々の傑作を生むウィーン時代の始まりである。しかし当地での自活の道は厳しく、翌年にはコンスタンツェと結婚したため、大きな責任を背負うことにもなった。とにかくモーツァルトは弟子をとり、また演奏会を開いて収入をはかる必要に迫られた。これは、彼がそうした演奏会で自らが弾くためのピアノ協奏曲を数多く作曲した大きな原因のひとつである。1785年には、モーツァルトは3曲のピアノ協奏曲を作曲した。いずれも予約演奏会で、自ら独奏パートを受け持って演奏されることを目的に書かれたものである。この年の2月に作曲されたのが、モーツァルトのピアノ協奏曲中、最高傑作のひとつとされるニ短調協奏曲K.466であり、その完成後わずか1ヶ月ののちに書き上げられたのが、このハ長調協奏曲K.467である。この2曲のピアノ協奏曲は、ほとんど同じ時期に作曲されたにもかかわらず、それぞれから受ける印象はかなり異なったものである。息詰まるような暗い雰囲気のニ短調協奏曲に比べ、このハ長調協奏曲は、その調性からも分かる通り、明るく伸びやかなものである。そうした曲調の差異はあるとは言え、この時期の作風として、非常に緊密で充実した構成、巧妙なオーケストレーションなどは共通している。独奏ピアノとオーケストラの見事な協調から、ピアノを加えた交響曲と評されることもうなずけるものである。
 
第1楽章/アレグロ・マエストーソ、ハ長調、4/4拍子、ソナタ形式。弦のユニゾンによる行進曲風の第1主題で開始され、オーケストラによる主題提示部ののち、独奏ピアノが即興的な短いカデンツァで登場する。そしてオーケストラと応答しあう形で第1主題を提示し、次いでピアノに副次的な2つの主題が現れるが、その2つ目のものが、これから3年後に書かれる第40番の交響曲の冒頭主題と、音型、調性ともに同じであることが興味深い。やがて下降音型の繰り返しによる愛らしい第2主題が、やはりピアノにト長調で現れ、それは木管で反復される。展開部はピアノの華やかなパッセージが続き、型どおりの再現部となる。
 
第2楽章/アンダンテ、ヘ長調、4/4拍子、3部形式。この楽章は、映画「はかなくも美しく燃え」で用いられたことで一段と有名になった。弦は弱音器をつけ、低弦のピッチカートで刻むリズムの上でヴァイオリンが美しい歌を奏で、それをピアノが反復する。ピアノにニ短調の新しい旋律が現れるところから中間部となり、やがて第1部の再現となるが、そこでは主調をとらず、変イ長調で現れることが斬新である。
 
第3楽章/アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ、ハ長調、2/4拍子、ロンド・ソナタ形式。軽快で活気に富んだフィナーレである。ピアノに次々と新しい主題が現れてオーケストラと対話を交わし、華やかな盛り上がりを作る。
 
  作曲年代  1785年3月9日完成。
  初  演
 1785年3月10日、ウィーンのブルク劇場にて、作曲者独奏。
  楽器編成
 独奏ピアノ、フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部
 
 
 
フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)
劇音楽「夏の夜の夢」 作品61より
“序曲”、“スケルツォ”、“間奏曲”、“ノクターン”、“結婚行進曲”
 
 ドイツ・ロマン派の初期を代表する作曲家メンデルスゾーン(1809〜1847)が作曲した「夏の夜の夢」は、シェイクスピアの全5幕からなる戯曲のための劇音楽である。彼がその劇音楽を作曲したのは1843年のことだが、序曲だけはもっとずっと早い時期に作られていた。メンデルスゾーンがシェイクスピアの戯曲「夏の夜の夢」のドイツ語訳を読んだのは、彼が17歳の時のことで、その戯曲の夢幻的な内容に霊感を受けて、直後に序曲を作曲したのである。つまりその時点では、序曲「夏の夜の夢」作品21は「フィンガルの洞窟」や「静かな海と楽しい航海」などの演奏会用序曲と同じ独立した管弦楽曲だったわけである。それから17年後、その序曲を聴いて感銘を受けた当時のプロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の命によって、同じ戯曲のための付随音楽を作曲することになったメンデルスゾーンは、かつての序曲をそのまま転用し、劇中音楽として新たに12曲を作曲したのである。この序曲と劇中音楽の間にはそれだけの長い隔たりがあるのだが、メンデルスゾーンは序曲に使ったモティーフを劇中音楽に巧みに織り込んだため、両者の間にはまったく違和感がなく、彼の美しい管弦楽曲の代表的な作品となっている。今日ではコンサートで劇音楽全曲が演奏されることはあまりなく、序曲と劇中の音楽を抜粋して組曲の形で演奏されることが多いが、今回の序曲と劇中音楽4曲を並べた組曲の形が最も一般的である。

 「序曲」は、まさに音画とも言えそうな、幻想的で妖精的な雰囲気が見事に表出された傑作。
 
「スケルツォ」は第2幕第1場、アンゼスの森の中の場を開始する幻想的な音楽で、妖精たちの戯れを想わせる。
 
「間奏曲」は第2幕と第3幕の間で演奏される音楽。前半は第2幕の物語を受けて、森の中をバラバラになってさまよう男女4人の不安げな気持ちを表すような曲で、後半になると第3幕を予告するように、村人たちの登場をコミカルに表現している。
 
「ノクターン」は第3幕と第4幕の間奏曲で、妖精の魔法によって2組の恋人が森の中で眠りにつく様子が描かれている。
 
「結婚行進曲」は第5幕、シーシウス公の館で執り行われる2組の恋人たちの結婚式に先立って演奏される曲。今日でも結婚式で演奏されることが多い、あまりにも有名な曲である。
 
   作曲年代 序曲=1826年8月6日。劇中音楽=1843年3〜4月。
   初  演
序曲=1827年2月、カール・レーヴェ指揮、シュテッテンにて。
劇音楽としては1843年10月14日、ポツダムにて。
   楽器編成
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット3、トロンボーン3、
オフィクレイド(低音金管楽器で、今日一般にはテューバで代用)、ティンパニ、シンバル、弦5部
 
(C)福本 健(音楽評論)(無断転載を禁じる)
 
 
 
佐藤俊太郎写真 (C)東昭年
                                 
 
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