大阪交響楽団 曲目解説 名曲コンサート 2017年度

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2017年度 名曲コンサート 曲目解説

 
 
第97回名曲コンサート   8月26日(土)
豊嶋 泰嗣
林 七奈

豊嶋泰嗣のモーツァルト
モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲全曲演奏シリーズVol.2
 
 
2017年8月26日(土)
昼の部 13時30分/夜の部 17時00分 開演
 
 
曲目解説 /萩谷 由喜子(音楽評論家)
 
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
 
 真作であることが判明しているモーツァルト(1756-1791)のヴァイオリン協奏曲5曲はすべて前半生のザルツブルク時代に作曲されました。ザルツブルクでは彼自身が宮廷楽団のコンサートマスターを務め、同僚にブルネッティという名手もいたため、ヴァイオリン協奏曲を書く機会が多かったようです。5曲中4曲までが1775年に作曲されたもので、この第3番も同年9月12日に完成しています。前作第2番からわずか3ヶ月後の作であるにもかかわらず、独奏ヴァイオリンとオーケストラとの対話は一段と緊密になり、管楽器の活用法も向上しています。2年後の1777年10月、マンハイム・パリ旅行の途中立ち寄ったアウグスブルクで、モーツァルトは《シュトラスブルガー協奏曲》との愛称で呼ぶヴァイオリン協奏曲を独奏したことを父親に手紙で報告しています。かつて、それは第4番のことと考えられてきましたが、近年になって第3番の第3楽章にシュトラスブルガーという民謡の旋律が採り入れられていることが判明するに及び、この第3番こそが《シュトラスブルガー協奏曲》であるという説が有力になってきました。なお、本日この第3番で演奏されるカデンツァはサム・フランコのものとウジェーヌ・イザイのものです。
 第1楽章:アレグロ、ト長調、4/4拍子。オーケストラが晴朗な第1主題から曲を開始します。この主題は半年前に初演した音楽劇《牧人の王》の中のアリアをもととする旋律です。次いでオーボエとホルンから第2主題が出されたのち、独奏ヴァイオリンが第1主題から登場し、新しい旋律も奏してから第2主題を奏でます。展開部では短調に傾いて陰影を表出し、オーボエと美しい対話も交わします。再現部のあとカデンツァが奏されます。
 第2楽章:アダージョ、ニ長調、4/4拍子。オーケストラの弦は弱音器をつけて終始柔和な伴奏役に徹します。それに呼応して木管はオーボエに代わってフルートが用いられます。主題は第2ヴァイオリン、ヴィオラの3連符と低弦のピツィカートをベースに第1ヴァイオリンが示します。再現部のあとシンプルなカデンツァが奏され、そのあともう一度主題が奏されて楽章を終えます。
 第3楽章:ロンド、アレグロ、ト長調、3/8拍子。溌溂とした主題を中心に展開されるフランス風の軽快なロンド。後半に現れる行進曲風の陽気なアレグレットがシュトラスブルガーと呼ばれる民謡です。最後はオーボエとホルンの柔らかな響きのうちに終わります。
 
作曲年代 1775年9月12日
初  演 不明
楽器編成 独奏ヴァイオリン、フルート2、オーボエ2、ホルン2、弦五部
 
 
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218 「軍隊」
 
 ヴァイオリンの調と呼ばれるニ長調で書かれたこの第4番は、第3番からちょうど1ヶ月後の1775年10月12日に完成しました。第3番同様、華やかな演奏効果を狙ったフランス風のギャラント趣味に彩られていますが、オーケストラの扱いは第3番よりも簡潔で、むしろ独奏ヴァイオリンの自由奔放な活躍が際立っています。第1楽章の冒頭主題が軍隊ラッパを思わせることから《軍隊》、あるいは《ミリタリー》の愛称で呼ばれることもあります。この軍隊ラッパ主題は呈示部のみに現れ、展開部と再現部には登場しないことが特徴です。この第4番ではフェルディナンド・ダーフィト作のカデンツァが採用されます。
 第1楽章:アレグロ、ニ長調、4/4拍子。オーケストラが進軍ラッパ主題で曲を開始し、18小節目から属音開始の第2主題を示します。次いで独奏ヴァイオリンが進軍ラッパ主題を高らかに歌いながら登場し、その後属音から6度上行跳躍する新しい主題を出します。この主題はソロ専用です。展開部は主として高音パッセージで構成されています。やがてソロが6度上行跳躍主題を示すところからが再現部です。カデンツァを経て活気に満ちたコーダで楽章を閉じます。
 第2楽章:アンダンテ・カンタービレ、イ長調、3/4拍子。抒情にみちた旋律が纏綿と歌われる緩徐楽章。第1ヴァイオリンとオーボエを中心とするオーケストラの主題から開始され、11小節目から独奏ヴァイオリンがこの主題をオクターヴ上で静かに歌い出します。
 第3楽章:ロンド、アンダンテ・グラツィオーソ、ニ長調。2/4拍子のロンド主題と、6/8拍子のアレグロ・マ・ノン・トロッポが交互に奏されたのに続き、ト長調、2/2拍子の変奏曲部分に入ります。再びロンド主題、6/8拍子部分が現れたあとカデンツァが置かれ、両部分を回顧してから名残惜しそうに曲を閉じます。
 
 
作曲年代 1775年10月12日
初  演 不明
楽器編成 独奏ヴァイオリン、オーボエ2、ホルン2、弦五部
 
 
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.364(320d)
 
 複数の独奏楽器がオーケストラと協調して豊麗な響きを作り出す協奏交響曲という曲種は1770~80年代にかけてパリを中心に大流行しました。モーツァルトには《オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットのための協奏交響曲》K.297bと、この《ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲》K.364といういずれも変ホ長調の2曲の協奏交響曲があります。前者は1778年春にパリで書かれたようですが、自筆譜が長らく行方不明となっていたため真作かどうか疑問視されています。それに対して、翌1779年にザルツブルクで作曲されたこのK.364は紛れもなく彼の真作で、直前のマンハイム・パリ旅行の影響を反映しつつも、楽器の扱いや書法の独創性、深みのある内容を持つことから彼のこの分野の頂点をなす傑作とみなされています。ヴァイオリンよりもヴィオラを好んだモーツァルトは、独奏ヴィオラを担当したものと推定されています。なお、独奏ヴィオラはニ長調で記譜され、楽器を半音高く調弦して弦楽器奏者の使いやすいニ長調の運指で弾けるように配慮されていますが、本日は通常調弦の変ホ長調で演奏されます。
 第1楽章:アレグロ・マエストーソ、変ホ長調、4/4拍子。協奏風ソナタ形式。長大なオーケストラ導入部を経て両ソリストがオクターヴの楽句から堂々と登場し、緊密な対話を繰り広げます。
 第2楽章:アンダンテ、ハ短調、3/4拍子。ソナタ形式の緩徐楽章。モーツァルトの全作品のうちでもとりわけ聴く者の胸を打つ楽章です。両楽器が水も漏らさぬ緊密なやりとりによって切々と悲痛な心情を吐露します。
 第3楽章:プレスト、変ホ長調、2/4拍子。遊び心に満ちたロンド形式のフィナーレ。非常な高音も要求されています。
 
作曲年代 1779年
初  演 不明
楽器編成 独奏ヴァイオリン、独奏ヴィオラ、オーボエ2、ホルン2、弦五部
 
 
 
 (C) 萩谷由喜子(音楽評論家)(無断転載を禁ずる)
 
 
 
豊嶋泰嗣写真 :(C)大窪道治
林 七奈写真 : photo:K.Miura
 

 

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