00975216
 

2013年度 特別演奏会 曲目解説

 
 
感動の第九        12月27日(金)

≪感動の第九≫
2013年12月27日(金)19時00分開演
 

モーリス・ラヴェル

ピアノ協奏曲 ト長調

 

 

 鞭を振る音で始まるラヴェルのピアノ協奏曲。彼の他のピアノ曲などに見られる細かいプラモデルのような精緻で壊れそうな雰囲気は少なく、陽気で溌剌とした作品です。三楽章ありますが、一般的なピアノ協奏曲より短く、演奏時間は約20分。わくわくしているうちに終わってしまう、もったいない曲でもあります。ラヴェルが生涯に完成させた作品は約75曲ですが、多くは生涯の前半に書かれました。というのも、ラヴェルが40代の時に第一次世界大戦が勃発し、後方支援とはいえ彼は従軍します。この戦場での壮絶な経験以降、彼の創作活動は目に見えて衰え、従軍後に完成されたのはわずか14曲だけでした。このピアノ協奏曲は従軍後の作品のなかでも最晩年の1931年に書かれ、これより後に完成したのは1曲だけです。短くコンパクトななかに、多種多様なアイデアが凝縮された名曲です。

 

 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン 

交響曲 第9番 ニ短調 作品125「合唱」

 

 年末の風物詩となったベートーヴェンの第九。「年末に演奏されるのは日本だけの習慣」だとしばしば語られます。確かに、12月に第九の演奏会がたくさんあるのは日本だけかもしれません。

 ところで、世界で一番古い民間オーケストラは、ドイツのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団です。ライプツィヒといえば、バッハが後半生を過ごした街、シューマンやメンデルスゾーンが活躍した街として知られていますが、古くから交通の要所として見本市が開かれ、諸外国の商人が多く行き交った国際都市であり、また、創立600年を越える歴史を誇るライプツィヒ大学を有する学術の中心地でもありました。ゲーテやニーチェが学び、森鴎外、滝廉太郎、朝永振一郎も留学しています。

 何故ライプツィヒのことを書いたかというと、この文化、学術、商業の中心地であったライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団で、19181231日、アルトゥール・ニキシュの指揮で第九が演奏されたからです。191812月のドイツといえば、そのわずか1ヶ月前の11月に、連合軍との休戦協定が結ばれたばかり。第一次世界大戦によって疲弊しきった時でした。

 その後の歴史、つまりナチスの台頭、第二次世界大戦、東西ドイツ分割、冷戦終結とドイツ再統一といった出来事は、私たちもよく知るところですが、この1918年以来ずっと、ライプツィヒでは年末の第九演奏が続いています。特に社会主義時代は1227日から31日まで五夜連続で開催され、ライプツィヒ市民の大きな楽しみでした。再統一から20年以上経つ現在でも29日、30日、31日の三夜連続公演で、それに先立つゲネプロも市民に公開されます。チケットは発売と同時に売り切れる大人気で、最終日の31日の演奏会は、全国にTV中継されます。その全国放送では、演奏にさきがけて首相演説もなされ、まさに年越しの大行事となっています。

 さて日本の第九。日本初演はライプツィヒの最初の年末公演と同じ1918年の61日、鳴門でドイツ人捕虜によってなされました。第一次世界大戦で青島のドイツ軍が降伏し、4000人以上のドイツ人が捕虜として日本に収容されていた時代で、鳴門だけでなく、久留米の収容所でも第九が演奏されたそうです。今年の年末の第九が終われば2014年を迎えます。折しも第一次世界大戦の開戦100年。ひとつのエポックになる特別な年の第九となります。

 

 

          (c)小石かつら (音楽学・西洋音楽史) (無断転載を禁ずる)

公益社団法人大阪交響楽団
Osaka Symphony Orchestra
〒590-0074
大阪府堺市堺区
北花田口町3-1-15 東洋ビル4F
TEL:072-226-5533
FAX:072-226-5544
 
 
四国支局
〒790-0051
愛媛県松山市生石町
649-11-402
TEL:089-947-4751
FAX:089-934-3577
 
 
201309301658395847.jpg
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
<<公益社団法人大阪交響楽団>> 〒590-0074 大阪府堺市堺区北花田口町3-1-15 東洋ビル4F TEL:072-226-5533 FAX:072-226-5544