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2013年度 名曲コンサート 曲目解説

 
 
第77回名曲コンサート   6月30日(日)
キンボー・イシイ=エトウ
黒川 侑

≪スコットランド≫
2013年6月30日(日)
昼の部 13時30分/夜の部 17時00分 開演 

 

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」作品26
 「僕がヘブリディーズ諸島にどれだけ感動したか、姉さんにも分かってもらえるように、頭に浮かんだものを届けます」。フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ(1809~47)は20歳を迎えた1829年、ピアノ演奏と指揮のため、ロンドンに招かれました。その際、イングランドからスコットランドへと足を延ばし、北西部にあるヘブリディーズ諸島スタファ島へ。玄武岩のアーチ状の天井に、荒波が流れ込む音がこだまするフィンガルの洞窟に大感激した彼は、実家にいる姉ファニーに宛てた手紙に、冒頭の言葉と、この序曲の主題を書きつけました。作品は1830年に完成を見たものの、その後も改訂が進められ、3年後に現在知られる形に。奇景や岩に砕ける白波を眼前にする思いにさせる描写力は、ワーグナーをして「メンデルスゾーンは一流の風景画家」と言わしめたほど。実際に、水彩画の達人だった作曲者。まるで絵筆のタッチを音符に置き換えたかのようですね。
 

 

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61
 「ツィゴイネルワイゼン」で知られる、19世紀を代表する名ヴァイオリニスト、パブロ・デ・サラサーテ(1844~1908)。この天才のため、同時代の作曲家が数多くの名曲を生み出しました。そのひとつに、カミーユ・サン=サーンス(1835~1921)が1880年に書いた、この協奏曲第3番があります。「第4弦で」と指示された情熱的な調べに始まり、次々に魅惑的な旋律が繰り出される第1楽章。そして、まるで子守歌のように美しい第2楽章に、サラサーテの故国スペインのフラメンコを思わせる、推進力と歌心に溢れた終楽章が続きます。この曲が技術一辺倒でなく、深い精神性を湛えていることは、サラサーテの人間的な奥深さを伝えます。この20年来の友人のため、サン=サーンスは「序奏とロンド・カプリチオーソ」(1863年)も世に出しています。まさに「友情が紡ぎ出した調べ」と言えましょう。
 

 

メンデルスゾーン:交響曲 第3番 イ短調「スコットランド」作品56
 フィンガルの洞窟に先立ち、古都エディンバラを訪問した20歳のメンデルスゾーン。ホリルード宮殿内にある修道院の廃墟で、多感な若者の心に、ひとつの旋律が浮かび上がってきました。実はこの場所では16世紀、当時のメアリ女王へ取り入り、政治にまで介入を始めたイタリア人楽師が、疎ましく思った貴族たちによって謀殺されたと伝わっています。彼はその旋律を第1楽章の冒頭に置き、「スコットランド」と題する交響曲にすることを思い立ちました。しかし、他の仕事に追われ、10年以上を経た1841年に本腰を入れ、翌年にようやく完成へ至ります。全4楽章は、切れ目なく演奏。第1楽章は、序奏部でまず、作曲のきっかけとなった旋律がオーボエとヴィオラのユニゾンで奏され、激情を思わせる主要部が続きます。そして、木管がバグパイプを模し、ケルト音楽に多用される五音音階に基づく軽快な第2楽章に、抒情的な第3楽章が続きます。終楽章は躍動感と熱情に溢れ、コラール風の長い結尾部は、喜ばしい雰囲気に満ちています。作品は、イギリスのヴィクトリア女王に献呈されましたが、彼女はメアリから数えて9代目となる末裔でした。

(C) 寺西 肇(音楽ジャーナリスト)(無断転載を禁ずる)

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