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2013年度 定期演奏会 公演批評

2013年度 定期演奏会 公演批評
 
第179回 定期演奏会
第179回 定期演奏会
第179回 定期演奏会
曲目
第179回 定期演奏会

 
≪児玉宏のブルックナー Vol.9≫
2013年9月27日(金)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール 
 
 
 今回の定期は、音楽監督の児玉宏によるブルックナーの交響曲シリーズの第9回である。児玉は音楽監督就任以前の客演の時からブルックナーの交響曲をプログラムに載せ、就任以後も定期的に取り上げてきた。これまでに番号順ではなかったが、すでに第0番から第7番までを演奏している。そして残りの2曲(シリーズに第00番を入れると残り3曲になるが)、つまり第8番と第9番のうち、今回は第8番を選んでいる。ブルックナーの交響曲の中で最も長大な作品のひとつである第8番であるから、今回のプログラムはこの1曲のみ。しかも、そこが《ディスカヴァリー・シリーズ》もやっている児玉らしいところか、ごく一般的に演奏されている1890年の第2稿ではなく、1887年の第1稿(ノヴァーク版)を選んだのである。巷で比較的簡単に入手できる第8番のCDは、ほとんどが第2稿を使ったもので、第1稿で演奏しているものはきわめて少ない。それは改訂された第2稿のほうが、音楽的完成度の高さという点で第1稿を凌いでいるという評価が大勢を占めているからだろうと考えられる。ただし、児玉が寄せたメッセージにも書かれているように『交響曲第8番の2つの版は、「それぞれ独立した作品」であり、同じ交響曲の「2つの版」という範疇では考えることが出来ないように思われる』という考えも、よく分かる。視覚の面で際立って目立つのは、ステージに並んだオーケストラの中に、ハープが1台しかないことで、おやっと思う。第2稿では3台のはず。聴覚の面でもかなり2つの稿は違っているところが多い。やはり第1稿は、大雑把に言ってしまえば粗削りという印象を拭えない。しかし、やはり児玉がメッセージで『音符が書き下されるのと同時にブルックナーの内面で起る「音楽的発展の軌跡」を、より明確に聴き取れるのは、第1稿ではないかと思う』という考えにも頷ける。第1稿は、第2稿ほどには整理が行き届いていないためか、少しくどさや冗長さを感じさせるところが有るように思えるが、むしろそれが本来のブルックナーらしさではないかとも思えるのである。確かに強い感銘を受けるのは、第2稿のほうかも知れないが。
 版の問題はそのくらいにして、演奏そのものについては、児玉が最初に客演した時のブルックナー演奏で受けた印象が、その後のブルックナー演奏に共通して言えることで、今回も同様の感銘を受けた。つまりブルックナーだからといって、必要以上に重々しくならず、すっきりとした明快な表現を行っていること、音楽がしなやかに心地よく流れること、
パワフルだが決して荒々しくも騒々しくもならないだけでなく、ニュアンスに富んだ弱音も有効に使えることなどである。第1楽章では管楽器群の輝かしい音に対して、弦楽器群が音量的にではなく、響きの量感という意味でいささか不足気味という印象を受けたのだが、それも楽章が進むほどに改善された。第2楽章は、もっとゴツゴツした演奏が多いように思うが、児玉はレガートを生かした滑らかな表現を聴かせて新鮮だった。ブルックナーらしい武骨さより流麗さが際立つが、鈍重で重苦しい演奏より、ずっと美しく、楽しく聴けた。第3楽章はこれまで以上に美しい流れを生んでおり、表情もデリケートで、なかなかに味わい深い。欲を言えば、やはりもう一息の響きの豊かさだろうか。多様性に彩られた第4楽章も、きわめてダイナミックでいて繊細な表情付けが聴かれた。
 
 
                                                       (C)福本 健
 
 
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