大阪交響楽団 2014年度 定期演奏会 公演批評

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2014年度

 

2014年度 定期演奏会 公演批評

2014年度 定期演奏会 公演批評
 
第192回 定期演奏会
第192回 定期演奏会
第192回 定期演奏会
曲目
第192回 定期演奏会

 シェイクスピア生誕450年記念【ヘンリー5世】
≪魅力再発見・ピアノ協奏曲④≫
 
2015年2月18日(水)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 児玉宏音楽監督の指揮で催された第192回定期演奏会は、今や大阪響の特色とさえ言える、滅多に耳にする機会のない作品のオンパレードのようなプログラムが組まれていた。冒頭は、2014年度の定期で必ず組み込まれている、生誕450年記念を迎えたシェイクスピアの戯曲に関連した作品として、ウォルトンの組曲「ヘンリー5世」、続いて《魅力再発見・ピアノ協奏曲》の第4弾となるマルトゥッチのピアノ協奏曲第1番、そして最後がグラズノフの交響曲第7番「田園」というもので、いずれも実演で接する機会はきわめて少ない曲ばかりである。そのためか、客席はいつもほど盛況ではない感じ。大阪響らしい特色のあるプログラミングと聴衆の獲得の両立は、やはり難しいのだろう。だからと言って誰もが知っているような名曲を並べたところで、必ず満席になる保証はないし、在関西の他のオーケストラとの個別化も希薄になってしまう。ともあれ、こうした珍しい作品を実際に聴くことができるということは喜ばしいことであり、感謝したいところでもある。
 さて、その演奏だが、ウォルトンの作品はそもそもが映画音楽として書かれたものからミューア・マシーソンが編出してまとめた組曲であり、全5曲のそれぞれにタイトルが付けられていて、その情景描写的な音楽になっているので、きわめて聴き易く、楽しめる音楽である。曲調も変化に富んでおり、演奏にも気合いが入っているが、余計な力は感じさせない、なかなかにまとまりの良いものであった。ただ音にするだけでも、それなりに多彩な表情が出そうだが、児玉が振ると本当に音楽的な表現になるところが凄い。
 マルトゥッチでのピアノ独奏は田部京子で、そもそも彼女のレパートリーではなくて今回の定期のために取り組んだのだろうが、しっかりと作品の魅力を伝えることに成功していた。技術的には、さほど超絶技巧的なところはなくて、ヴィルトゥオーゾ的な意味での爽快感は少ない曲のように思えるが、田部は強靱な音でダイナミックに演奏しており、しかも音楽的表情にも不足しないころが良い。オーケストラもピアノに遠慮することなく豊かな響きと多彩な表情で競演した。いささかオーケストラの響きが厚くて、ピアノをマスクしてしまうようなところも少なからずあったのは、曲の書き方のせいか、あるいは児玉の指揮のせいか、ちょっと判然としない。聴いている間は、なかなか魅力的な旋律などもあって美しいと思ったりするのだが、聴き終わってしまうと、その旋律を思い出すのが難しいような、記憶に残りにくい曲のようにも思える。そのあたりが頻繁に演奏されない原因のひとつかも。
 グラズノフの交響曲も、その意味では強烈な印象が残りにくい曲と言えるかも知れない。ロシアの交響曲にしては、全体に柔和で穏やかな感じの音楽で、第2楽章や終楽章などは重厚さも感じられたり、対位法を使ったややアカデミックな雰囲気もあったりするが、何度も聴きたいと思えるほど魅力的だったかと言うと、そうでもない。しかし演奏は充実しており、第3楽章のスケルツォではもう少し技術的な安定度と緻密さが欲しいと思えるところがあったにしても、全体的には十分に音楽的表情に彩られており、曲の持ち味はしっかりと伝えていた。これも児玉の柔軟で歌心に満ちた指揮のおかげだろう。(2月18日・ザ・シンフォニーホール) 
(C)福本 健 
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