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2014年度

 

2014年度 定期演奏会 公演批評

2014年度 定期演奏会 公演批評
 
第189回 定期演奏会
第189回 定期演奏会
第189回 定期演奏会
曲目
第189回 定期演奏会

 シェイクスピア生誕450年記念【ロメオとジュリエット】
≪ロマンティック・ロシア≫
 
2014年10月16日(木)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 
 《ロマンティック・ロシア》と題された第189回定期演奏会は、定期初登場となる若手指揮者のホープ、川瀬賢太郎の登場。プログラムは、まずシェイクスピア生誕450年記念として今年度の定期に必ず組み込まれているシェイクスピアの戯曲に因んだ曲として、チャイコフスキーの幻想的序曲「ロメオとジュリエット」、続いてショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番、そしてメイン・プログラムとしてラフマニノフの交響曲第2番が並べられた。まさにロマンティックなロシアの作品によるプログラムである。
 川瀬は、当楽団の名曲コンサートや依頼公演ですでに何度も共演しているらしいが、筆者は今回初めて彼の指揮に接した。しばらく前から良い指揮者だという評判は聞いていたが、今回の演奏を聴いても確かに才能豊かな若手だという印象。最初のチャイコフスキーの序奏での、大変に丁寧でニュアンスに満ちた表情付けだけでもそれが確認できたが、主部に入ってからのキビキビとした音運びにも若々しい気力が感じられたし、アンサンブルの緻密さや響きのまとまりの良さ、そして鳴らし過ぎとすら思える最強音でも音を粗くしないセンスの良さが窺われ、さすがに評判の良い指揮者だと納得した次第である。ただ、序奏部は、思い入れがあり過ぎてか、相当遅めのテンポで細やかに表情付けをしていたことから、音楽の前進性に疑問を残したのも事実。しかし主部を含めて、どこをとっても無意味な音の連なりになっているところが無いという入念さは、大いに評価したいところである。
 ショスタコーヴィチでの独奏者は、川瀬とほぼ同世代の田村響で、まことに達者なテクニックで見事に弾き切った。楽器を十分に鳴らした音は美しいし、技術的に不安を感じるところは微塵もない。さすがに国際的なコンクールの覇者らしいところである。よりロマンティックな作品と違って、ショスタコーヴィチならば、これで十分と言えなくも無い仕上がりだが、その素晴らしいテクニックによる音の運動性だけを楽しんでいるような、一種即物的な表情に物足りなさも感じた。さすがに第2楽章では、とりわけ美しく魅力的な音と抒情的な表情を聴かせたが、テンポが速い両端楽章はその印象が強かった。もう少し何らかの工夫があってもという思いが残り、例えば両手がオクターブのユニゾンで動くところが少なからずあるが、常に同じ音量バランスではなく、時には右手のほうがより強く、あるいは時にはその逆で、といった具合にするだけでも音の表情に変化が付くと思うのだが、これは邪道だろうか。オーケストラもピアノに応じてきっちりと仕上げられていて、決して悪くはないが、やはりもっと表情の豊かさが欲しい。
 最後のラフマニノフは、川瀬の若々しい情熱が前面に出た演奏といったら良いだろうか。すべての音が聴き取れるような端正さに加えて、明朗すぎるほどに明朗な演奏で、アンサンブルや響きのまとめ方にも堅実さと共に閃きも感じられたが、ラフマニノフを聴いたという充足感からは、いささか遠かったという印象。主旋律主導が徹底されて、他の声部とのバランスが少々悪かったり、全体に響きが明る過ぎたせいだろうか、どこかラフマニノフらしい空気と言うか雰囲気が希薄で、物足りなさを残した。とは言え、これほど自身の若さに自信を持って、明朗きわまりない演奏ができるのも、才能だと思う。その才能が、これからどのように一層花開くのか、注目してゆきたいという気持ちである。(10月16日・ザ・シンフォニーホール)
 
                             (C)福本 健
 
   
 
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