インタビュー 小谷 麻理子(オーボエ副首席奏者)
2018-01-05
— インスペクター(リハーサル等の時間管理を担当するマネージャー)を務めていますね。
そうなんです。楽団員の持ち回りで一昨年はサブ・インスペクター、今年はインスペクターです。予期せぬトラブルが起こると大変ですが、やりがいのある仕事です。
— オーボエはいつ始めたのですか。
中学校の吹奏楽部でまずクラリネットを始めて、オーボエに変わりました。クラブ自体はとても楽しかったんです。でもリードひとつとっても、オーボエって子供が扱うには大変なんですよ。高校3年生の時、曲の要になるソロを上手に吹くために先生に習いたいと思ったんです。それで京都市立芸術大学の岩崎勇先生を紹介してもらいました。当時、音楽大学への進学は考えていなかったのですが、レッスンに行ったら同級生の音大受験生が7人ぐらい。全員がお互いのレッスンを聴き合うんです。そこで刺激を受けて音大に行きたいと思ったんです。同志社女子大学音楽科 管楽器専攻の1期生として、入学できました。
— 大学時代はいかがでしたか。
京都市交響楽団の呉山平煥先生に厳しく指導されました。そして研究科に残った後、留学したんです。もっとオーボエがうまくなりたいという一心と、ギュンター・パッシンという先生に習いたいという夢だけでドイツに行きました。言葉は通じないし、最初は大変でしたよ。
— 当時の大阪シンフォニカーに入られた経緯は?
2年でドイツから帰ってきて、前川光世さん(当時のオーボエ首席奏者)がいらっしゃるオーケストラに入りたいと思って、オーディションを受けて入団したんです。まともにオーケストラの経験もなかったので、苦労しました。すごく迷惑をかけたと思います。それがある時期から「木管女軍団」とでも言うべき仲間の存在もあって、とても楽しくなってきました。
— 大阪交響楽団らしさを教えてください。
敷島博子代表(現永久名誉楽団代表)の存在は大きいと思います。そんなパワーのある女性が作ったオーケストラというのは誇りです。
— イングリッシュ・ホルンの持ち味は?オーボエを吹いていて、これぞという経験は?
イングリッシュ・ホルンにはソロが多いわけですが、「新世界」(ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」)は何度吹いても緊張します。第1楽章の終わり頃になると、不思議なぐらい心臓がバクバクしてくるんですよ。あれが好きなイングリッシュ・ホルン吹きはいないと思います。
今まで演奏してきて3回ぐらい、神様が降りてきたって思ったことがあるんです。トーマス・ザンデルリンクさんの指揮でショスタコーヴィチの交響曲第10番を演った時には、客席と舞台が同じ空気になって、ここにいる全員が同じ集中をしていると感じました。
小谷麻理子写真:(C)飯島 隆
聞き手/小味渕彦之(音楽学・音楽評論)
~プログラムマガジン2017年度12月号掲載~
