インタビュー 四家 絵捺(ヴィオラ副首席奏者)
2025-07-01
— 楽器を始めたきっかけは。
漫画の『のだめカンタービレ』を読んで、ヴァイオリンの峰龍太郎くんに憧れたんです。母はピアノをしていたんですが、8歳の時にヴァイオリンを始めました。手にした時はうれしかったです。始めたのは遅い方でしたが、中学の途中で周りの人たちと同じぐらい弾けるように追いついて、音楽高校に進んで高校2年生からヴィオラも始めました。楽器の仕組みはヴァイオリンもヴィオラも同じ理屈なのですが、ヴィオラはワイルドな音など、ヴァイオリンに比べて楽音として許される範囲が広くて楽しかったです。高校3年生の時、あるヴィオラの先生から「ヴィオラがいいんじゃない?」と言われていたんですが、京都市立芸術大学にはヴァイオリンで入りました。東京の練馬区出身で関西に住んだのは初めてでした。衝撃でしたね。言葉は違うし、「また行こうや」って言うけど、まだ一度も一緒に行ったことないですしね(笑)。でも関西の方は人当たりのいい人が多くて、馴染めました。
— 大学で印象的な出来事はありましたか?
ヴィオラを山本由美子先生と小峰航一先生に習うことができて、いい師匠との出会いでした。一度だけ今井信子先生のレッスンを受けたことも心に残っています。コロナ禍で参加できたのは大学を卒業してからになったんですが、小澤征爾音楽塾をヴィオラで受けたんです。そのオーディションで手ごたえがありました。4回生の時の大学の定期演奏会では、ヴァイオリンを弾いてコンサートマスターをやらせてもらえて、ラヴェルの《ラ・ヴァルス》を演奏しました。とても大変でしたが、終わってみたら、それが少し自信につながりました。その頃に大阪フィルハーモニー交響楽団に毎月のようにエキストラに行くことができて、とても良い経験でした。卒業間際に小澤塾も再開されて、ようやく参加することもできました。
— 大阪交響楽団との出会いは?
コロナ禍の真っ只中に急遽呼ばれたのが最初で、その時はヴァイオリンだったんですよ。バレエの「ジゼル」でピットに入ったんですけど、ヴィオラ首席の早田類さんのソロが綺麗すぎて。そんな中で大阪交響楽団のオーディションがあったんです。当時、たまたまあちこちのオーケストラでオーディションがあったんですが、大阪交響楽団が本命だったんです。入団してみると、経験が浅いわけですから初めての曲ばかりで大変でした。そんな中、1プルト目に座ることになって、皆さんが猛烈に積極的に弾いていたのがカルチャーショックでした。
— 大阪交響楽団で思い出に残る本番はありますか?
オーラ・ルードナーさんの指揮でブルックナーの《交響曲第6番》の時ですね(第260回定期演奏会、2022年12月8日)。ブルックナーって構造はしっかりしているけども、部分ごとに見るとシンプルなんです。定期試験に例えた方がいらっしゃったけど、その時はうまくできて楽しかったですね。終わってみて、うれしかった。ヴィオラは目立たないパートではありますけど、力強いフレーズで「こういうふうに持っていきたい」と思った時に、それで他のパートが燃え上がった時なんかは、良かったなと思います。
— 副首席奏者の仕事って、どんなことですか?
ヴァイオリンでいうとアシスタント・コンサートマスターです。首席奏者の早田さんの意図を増幅したりという役割が多いんですけど、代行して首席に座ることも、とても良い経験で勉強になります。
— これからどんなオーケストラプレーヤーになっていきたいですか?
いろいろな歌い回しをできるようになりたいし、王道でいきたいと思います。
四家絵捺 写真:(C)飯島 隆
聞き手/小味渕彦之(音楽学・音楽評論)
~プログラムマガジン2025年度7・9月号掲載~

