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第248回 定期演奏会   7月1日(木)
太田 弦 (C)ai ueda
小山 裕幾

 
2021年7月1日(木)19時00分開演 
 
当初出演を予定しておりましたソリスト、ダニエル・オッテンザマー氏(クラリネット)とソフィー・デルヴォー氏(ファゴット)は、新型コロナウイルス感染症に関わる入国制限により来日困難となりました。おふたりに代わりまして小山裕幾氏(フルート)が出演いたします。出演者変更に伴い、曲目も一部変更いたします。
 
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
交響曲 第29番 イ長調 K.201(186a)
 
 天才作曲家として名高いモーツァルトは、8歳の頃に最初の交響曲(第1番K.16)を書き上げると、以後、32歳で第41番「ジュピター」(K.551)を完成させるまでに40曲以上もの交響曲を作曲した。現在、一般的に用いられている交響曲の番号は、19世紀後半にライプツィヒのブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から刊行された『モーツァルトの作品、批判的校閲全集版全集』(旧全集)の収録曲に基づいて与えられた通し番号に由来している。
 1774年4月6日に完成された第29番は、第3回目となるイタリア旅行から1773年3月に故郷ザルツブルクに戻り、宮廷楽団で演奏しながら1774年末までの間に作曲された9曲(第22番~第30番)の内の1曲である。疾風怒濤的な表現に満ちた第25番とともに、音楽学者のアインシュタインが「ひとつの奇跡である」と評した名作であり、第29番の特質としては、旋律が明朗なイタリア様式と緻密な書法によるオーストリア様式が一つに溶けあいながら、典雅で魅力的な世界を形づくっている点を挙げることができる。管楽器はオーボエとホルンのみであるが、両者を巧みに活用し、同じ音型をしきりに繰り返す一方で、シンコペーションやヘミオラなど、リズム上の工夫も盛り込まれている。

 
第1楽章:アレグロ・モデラート イ長調 2分の2拍子 ソナタ形式 揺れ動くような弦楽器の弱奏でスタートし、1オクターヴにわたって1音ずつ上行しながら盛り上がって行く第1主題に続いて、清楚な第2主題が提示される。展開部、再現部を経て、結尾部は、これまでのモーツァルトの交響曲の中では最も長く、第1主題を対位法的に扱ったコーダで閉じられる。
第2楽章:アンダンテ ニ長調 4分の2拍子 ソナタ形式 2つの優美な主題が提示され、室内楽的に入念に構成されている。部分的に対位法的な書法も採用されている。
第3楽章:メヌエット イ長調 4分の3拍子 三部形式 付点音符を活用したリズミックなメヌエット楽章。中間部には、深い味わいが込められている。
第4楽章:アレグロ・コン・スピーリト イ長調 8分の6拍子 ソナタ形式 オクターヴ跳躍を盛り込み、小気味よさを湛えた第1主題が印象的。展開部では主に第1主題が扱われる。
 
●作曲年代
1774年4月6日完成
●初  演
不詳
●楽器編成
オーボエ2、ホルン2、弦5部
 
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
フルート協奏曲 第2番 ニ長調 K.314(285d)
 
 生地のザルツブルクで宮廷音楽家を務めていたモーツァルトは、やがて同地での職務に不満を抱き、1777年秋に職を辞して、9月23日に母とともに“マンハイム・パリ旅行”と呼ばれる旅に出た。同年10月からマンハイムに滞在したモーツァルトは、同地の宮廷楽団の名手ヴェンドリングと交友を深め、その紹介でドゥジャンという人物と知り合いになった。ドゥジャンは、裕福な商人でフルートの愛好家であり、モーツァルトに3つの短くて軽めの協奏曲といくつかの四重奏曲の作曲を依頼した。ところが、モーツァルトは、翌78年2月14日の最終期限までに、協奏曲については、現在では第1番とされているト長調の作品(K.313[K.285c])、そして、当作品の2曲しか提供することができなかった。しかも、当作品は、前年に作曲したオーボエ協奏曲を編曲したものであったため、報酬は当初の約束であった200フローリンに対して、96フローリンしか支払われなかった。
 原曲のオーボエ協奏曲は、1777年にザルツブルクで作曲され、マンハイムでフリードリヒ・ラムが吹いて好評を博したことが知られている。モーツァルトは、フルート協奏曲に改編する際に、1音高いニ長調に移調し、パッセージをフルート用に手直し、玲瓏で生彩あふれる作品に仕上げている。また、フルートの特性に配慮し、楽章によっては、オーボエ協奏曲よりも、速度表記を一段上げている点も大きな特徴となっている。

 
第1楽章 アレグロ・アペルト ニ長調 4分の4拍子 協奏風ソナタ形式 オーケストラが、アペルト(「開放的な」の意)の表記を体現するように、若々しく躍動する第1主題を奏し、続いて美しい第2主題を提示する。フルート・ソロが登場し、音楽はさらに華やかさを増していく。
第2楽章 アダージョ・マ・ノン・トロッポ ト長調 4分の3拍子 展開部が簡略化されたソナタ形式 オーケストラの朗々とした響きに導かれ、フルート・ソロが主題を歌い出す。
第3楽章 アレグロ ニ長調 4分の2拍子 変則的なソナタ形式 フルート・ソロが颯爽と第1主題を奏し、展開部もフルートが主役を務め、華やかに進んでいく。
 
●作曲年代 1778年初頭に改編(原曲は1777年作)
●初  演
不詳
●楽器編成
独奏フルート、オーボエ2、ホルン2、弦5部
 
 
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
メタモルフォーゼン (23の独奏弦楽器のための習作)
 
 交響詩の分野で新たな世界を切り拓いたR.シュトラウスは、かつて、保守派の大立て者であったラインベルガーから、「あなたは、才能があるのにモダンな下水に落っこちてしまいましたね」と言われたりもしたが、その後、歌劇の分野でも大成功を収めた。しかし、12音技法や新即物主義といった流れとは距離を置いたまま年を重ね、1942年10月に歌劇《カプリッチョ》がミュンヘンで初演された後、第一線から退き、作曲は「単なる手首の運動」として、達観したかのように融通無碍な音楽を生み出した。
 すでに80歳を越えていたR.シュトラウスが、第二次世界大戦末期にあたる1945年3月13日にガルミッシュの山荘で着手した《メタモルフォーゼン》は、各パートが独立した23の弦楽器のための作品である。ナチス・ドイツによって政治的に翻弄され、山荘に引きこもっていた老作曲家が、連合国軍の爆撃によって生まれ故郷のミュンヘンの国立歌劇場が破壊され、ドレスデンの街が焼け落ち、ウィーン国立歌劇場も全壊したという状況のもとで作曲したこともあり、憤怒、嘆き、諦念が盛り込まれ、強い表出力を備えた音楽になっている。ベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》の第2楽章〈葬送行進曲〉冒頭の音素材に基づいて、変奏曲よりもさらに自由な発展と変容が行われる。変容を意味する「メタモルフォーゼン」の語は、当時、R.シュトラウスが愛読していたゲーテに由来すると言われている。
 当初、11の弦楽器を想定し、その後、7声部の弦楽アンサンブルのためにショート・スコアの形で作曲の筆を進め、そこから23の弦楽器のために発展させていったことが知られている。ナチス・ドイツが降伏する約1か月前にあたる4月12日に完成した楽曲は、自由な三部形式を採り、第1部はゆるやかに始まり、対位法的な展開も盛り込まれている。第2部はテンポが上がり、悲劇的な響きが表立つようになる。第3部は、再びゆるやかになり、終結部近くで「イン・メモリアル(追憶)」と記された箇所では、ベートーヴェンの〈葬送行進曲〉の主題がはっきりと姿をあらわし、やがて消え入るように閉じられる。
 
●作曲年代 1945年春
●初  演
1946年1月25日。パウル・ザッハー指揮コレギウム・ムジクム・チューリヒ。スイスのチューリヒにて
●楽器編成 ヴァイオリン10、ヴィオラ5、チェロ5、コントラバス3
 
 
(C) 満津岡 信育(音楽評論)無断転載を禁じる)
 
 
 
 
                                     
 
 
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