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2019年度 特別演奏会 曲目解説

 
 
感動の第九

 
2019年12月27日(金)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488
 
 1781年、郷里ザルツブルクからウィーンに出てきたモーツァルト(1756-1791)。当地でモーツァルトの活動の柱の一つとなったのが予約演奏会。そこで新作ピアノ協奏曲を披露していき、存命中における活動の絶頂期を築いていった。なかでも1784年から3年間におけるピアノ協奏曲の創作は旺盛であった。とりわけ「第23番」はモーツァルトのピアノ協奏曲作品の中でも際立った完成度の高さを示す。その一端はカデンツァが作曲家の自筆により書かれていることに象徴される。この一点をとっても、モーツァルトが本作にきわめて心血を注いだことを示している。
 また編成としての特徴は、オーボエ、トランペット、ティンパニを外す代わりに、当時楽器が進化して著名な演奏家も進出してきたクラリネットを用いたところである。楽器の特性もあり、同じくイ長調の≪クラリネット協奏曲≫や≪クラリネット五重奏曲≫、さらには最晩年の≪ティートの慈悲≫においても、活動の後期におけるモーツァルトは内省的なフレーズをクラリネットに担わせる場合がある。そういった面で同曲はその走り的な使い方がみられる。
 第1楽章はアレグロ イ長調 ソナタ形式。柔和な弦楽器の入りから、それを受け継ぐ木管の応答が晴れやかな印象を与える。その性格を受け継ぎ、ピアノの天衣無縫の「歌」とオーケストラとの多様な対話が光る楽章である。
 第2楽章は平行短調たる嬰ヘ短調 三部形式。冒頭のピアノから柔らかさと憂いが絶妙に織り交ぜられ、両立した性格の楽章。モーツァルトが書いた最も美しい内省的な緩徐楽章の一つである。
 第3楽章はロンド形式。主題が4回帰ってくる構造。その間にクラリネットのニ長調の華やかな展開など創意工夫に満ちた楽章である。
 
  作曲年代 1784年~1786年ころ
 初  演 1786年ころ ウィーンにて。
 楽器編成
独奏ピアノ、フルート、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、弦5部
 
 
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲 第9番 二短調 作品125 「合唱付き」
 
 ベートーヴェン(1770年−1827年)はかなり早い段階 ― 1792年にウィーンに出る前のボン時代 ― から長年、シラーの詩、「歓喜に寄す」を作品に用いる構想を持っていた。シラーの詩に流れる人間の精神の解放は、ベートーヴェンが生涯、意識の根底に持っていたと思われる自由や平等といった思想と結びついて、共感を強くした。ただすぐ創作に結び付くことはなく、長年想を温めていた。
 1812年に《交響曲第7番》、《交響曲第8番》を作曲後、ベートーヴェンの創作は≪ハンマー・クラヴィーア≫や最後の3つのピアノ・ソナタ、《ミサ・ソレムニス》といった聖と俗、両面を合一させるような孤高の境地へと入っていく。≪交響曲第9番≫の作曲は、1822年にロンドン・フィルハーモニー協会からの依頼が直接的な契機となるが、作曲を本格化させるのは、1823年に《ミサ・ソレムニス》、≪ディアベッリ変奏曲≫を完成させたのちになる。《交響曲第9番》は、いわゆる聖分野で枯淡の境地に達していった作曲家が人間精神の解放という思想を楽曲として具現化させた象徴的作品ともみなせよう。
 作曲は別の2つの交響曲を一つに結合させていくなど推敲を重ねた末に、これまでの作曲家の技法を集大成させるような第1楽章から第3楽章と、終楽章にシラーの「歓喜に寄す」から一部を取って器楽的に統合するように声楽付きの交響曲とした。この交響曲に声楽を導入する革新的な終楽章の試みは、これ以降、後の作曲家に交響曲における終楽章のあり方について深い熟考を促す、高い壁になっていた作品である。
 第1楽章 ニ短調 空虚5度で調性もうつろな中から、勇壮な主題が湧き出てくる。この主題が展開していき、コーダで壮大で堂々たるクライマックスを築く。
 第2楽章は、緻密に構築された作曲家らしい三部形式、ニ短調のスケルツォ楽章。弦楽器とティンパニが軸となり、動的にリズムを突き詰めていった作曲家の真骨頂が示されている。
 第3楽章 変ロ長調。抒情的で祈りにも似た主題とアンダンテの動的な主題が交互にあらわれ展開していく変奏技法の粋を極めた楽章。最後にファンファーレがなり、次の楽章への予告となる。
 第4楽章 ニ短調 ― ニ長調 「恐怖のファンファーレ」から先の3つの楽章を回顧するかのように各楽章から主題が集約されている。だが、チェロとコントラバスによる「このような歌ではない」という否定から「歓喜の歌」の主題が表れる。その後、楽章冒頭から敷衍するかのように、プレストからバリトンの独唱が入り、交響曲で革新的な声楽の導入、そして人類の平和の賛歌、そして神への賛歌が対位法的に組み合わされ壮大なクライマックスへ至る。
 
  作曲年代 1822年~24年
 初  演 1824年5月7日。ミヒャエル・ウムラウフ/ベートーヴェン指揮。ウィーン ケルントナー・トーア劇場にて。
 楽器編成
フルート2、ピッコロ、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、シンバル、トライアングル、大太鼓、弦5部、
ソプラノ、アルト、テノール、バリトンの独唱、混声4部合唱
 
 
(C)戸部 亮(音楽評論家)(無断転載を禁ずる)
 
 歌詞対訳(C)鶴間 圭(音楽学)(無断転載を禁ずる)
 
 
                
 
 
 
 
 
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