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2019年度 名曲コンサート 曲目解説

 
 
第110回名曲コンサート   2月1日(土)
太田 弦
ジャスミン・チェイ 

フレッシュなニュー・アーティストの共演Ⅱ
 
2020年2月1日(土)
昼の部 13時30分/夜の部 17時00分 開演

「名曲コンサート」の名の通り、掛け値なしの名曲が3作揃いました。どの作品も聴きごたえたっぷりの充実した内容を持っています。「フレッシュなニュー・アーティストの共演Ⅱ」という副題が付けられました。フルートの独奏者にジャスミン・チェイを迎え、彼女自身の編曲でメンデルスゾーンの《ヴァイオリン協奏曲》を取り上げるというのですから、これは要注目です。すでにチェイは大阪交響楽団と2年前の2018年1月に共演を果たしていて、今回は待望の再共演。今シーズンから大阪交響楽団正指揮者に就任した太田弦とのフレッシュな組み合わせに期待が高まります。
 

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
序曲「コリオラン」 作品62
 
 力を十分に溜めて鉄斧を振り下ろすような一撃が冒頭から何度も続きます。ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)の音楽は、ハイドンやモーツァルトと同様に、ウィーン古典派として分類されますが、この二人の作品と比較しても、強い響きの打ち出しが重ねられる音楽となり、その個性は生前にも際立っていました。
 1807年(37歳)に、悲劇『コリオラン』のための序曲として書かれた作品です。宮廷歌劇場で繰り返し上演されていた悲劇で、紀元前5世紀に活躍した英雄であるコリオラヌス(コリオラン)は、戦いで勝利をおさめてローマへ凱旋するのですが、裏切り者として家族ともども追放されてしまうのです。宮廷秘書官も務めたH.v.コリンが作者で、1802年に初演されました。ベートーヴェンは評判になっていたこの劇のために序曲を書こうと、1807年(36歳)初めに《序曲「コリオラン」》を作曲したのですが、実際の演劇で演奏された記録は残っていません。
 細かな音形の動きを軸に、がっちりとした構成を持っています。れんが造りのようにメロディも豊かに歌われて、短い中にベートーヴェンのエッセンスが詰まった曲に仕上がりました。冒頭の響きとは対照的に、静かに閉じられる曲の最後が耳に残ります。
 
作曲年代 1807年
初  演 1807年3月。ロプコヴィッツ侯の邸宅にて。
楽器編成 フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部
 
 
 
フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847) / ジャスミン・チェイ編
ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 (フル-ト編曲版)
 
 冒頭2小節目から流れるように歌われるメロディの美しさは、何にも代え難いものがあります。原曲はヴァイオリン協奏曲ですが、今回はフルート独奏で奏でられるというのですから、ヴァイオリンとは、また違った魅力がそこには生まれることでしょう。フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)はドイツの作曲家で、初期ロマン派の代表格。彼の音楽は、浮き立つようなメロディと透明で神秘的な響きがトレードマークです。指揮者としても活躍していて、ライプツィヒのゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター(楽長、首席指揮者)を務めています。
 《ヴァイオリン協奏曲》は1838年に着手され、1844年(35歳)に完成しました。友人で初演者でもあるゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスター、フェルディナント・ダーヴィットの助言が事細かに反映されています。その多くは、1844年9月に作品を書き上げてから、翌年3月に行われた初演までの間に手を入れられており、楽譜に完全な形で書かれている第1楽章のカデンツァは、ダーヴィットの作と推察されます。
 3つの楽章が続けて演奏されます。次の交響曲もそうなのですが、この方法はメンデルスゾーンが打ち出した新機軸とも言えます。〈第1楽章〉は前述した通りで、この甘く流麗なメロディは聴く人の耳を捉えて離しません。ファゴットが接続して続く〈第2楽章〉も抒情的に独奏ヴァイオリンが歌い、オーケストラが絶妙な色合いで受け止めます。〈第3楽章〉も独奏ヴァイオリンがしなやかに先導し、颯爽とした歩みが、軽やかに進むフィナーレです。
 
作曲年代 1844年完成
初  演
1845年3月13日。フェルディナント・ダーヴィット独奏、ニルス・ゲーゼ指揮。ライプツィヒにて。
楽器編成
独奏フルート(原曲は独奏ヴァイオリン)、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部
 
 
 
フェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)
交響曲 第3番 イ短調 作品56 「スコットランド」
 
 冒頭から一筆書きのように音楽が連なります。この冒頭のメロディは1829年7月30日の夕刻に訪れたエディンバラのホリルード宮殿でスケッチされたもの。この日に書いた手紙には、ホリルード宮殿と礼拝堂の印象が綴られ、「私のスコットランド交響曲の始まりを見つけました」と記されています。20歳のメンデルスゾーンにこのスコットランド旅行は、多大なインスピレーションをもたらしました。
 メンデルスゾーンには番号を持った交響曲が5曲あります。番号は出版順に付けられたので誤解をされやすいのですが、この「第3番」は一番最後に出来上がった交響曲です。1842年(33歳)の年頭に完成した作品。1841年夏から、生まれ育った実家のあるベルリンで集中的に取り組まれました。着想から12年半の月日を経て、書き上げられたことになります。メンデルスゾーンが母へ宛てた手紙には「スコットランドの曲」だからこそ意味があると書いていて、イギリスのヴィクトリア女王への献呈を求めたほどなのですが、音楽の内容は単なる風景描写ではありません。メンデルスゾーン自身もそうした解釈を否定していたそうです。
 4つの楽章での構成。「各楽章は続けて演奏しなければならない」という指示が全曲の統一感を生みます。〈第1楽章〉冒頭のまさに光が差し込む序奏から、溢れんばかりに音楽が湧き立ちました。〈第2楽章〉でバグパイプの音色がこだまし、〈第3楽章〉で朗々と流れる歌となるのです。〈第4楽章〉でメンデルスゾーン自身が「戦闘的なアレグロ」と呼ぶ激しい音楽が繰り広げられますが、コーダ(終結部)で一転して伸びやかな抒情が描かれ、幕が下ります。
 
作曲年代 1842年完成
初  演 1842年3月3日。メンデルスゾーン指揮。ライプツィヒにて。
楽器編成 フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、 弦5部
 
C)小味渕 彦之(音楽学・音楽評論)(無断転載を禁ずる)

 

 

太田弦写真(C)ai ueda
ジャスミン・チェイ写真(C)Sangwook Lee

 

 

 

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