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第228回 定期演奏会   4月25日(木)
オーラ・ルードナー

2019年4月25日(木)19時00分開演
 
フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)
交響曲 第60番 ハ長調 Hob.Ⅰ-60 「うかつ者」
 
 この交響曲は一風変わった6楽章構成。これは、エステルハージ宮廷で1774年に上演された喜劇『うかつ者』のために作曲された劇付随音楽がもとになっているからである。この喜劇は5幕物で、音楽は序曲、幕間の間奏曲4曲、そして終曲の6曲だった。初演は大成功を収め、この作品は、ハイドンの生前に大変人気を博していたらしい。
 第1楽章はアダージョの序奏があり、ファンファーレで始まる。これは1773年に書かれた交響曲第50番とそっくりで、こちらの交響曲も劇作品の序曲が転用されたものだ(ただし、全般的にはハイドンは劇作品はあまり書いていない)。交響曲と序曲の垣根が低かったこと、また序曲には独特のスタイルがあったことがわかる。
 第2楽章はアンダンテで、ゆったりとした弦楽器にコミカルな管楽器が乱入し、会話のように聴こえる。展開部は、フランスのフォークダンスのパロディになっている。
 第3楽章はハ長調のメヌエット。中間部、ハ短調のトリオの部分がおもしろい。弦楽器がハ短調をぐいと聴かせたならば、それに呼応してオーボエが不思議な音階を吹く。バルカン半島の音階だというが、違和感たっぷりで、ミスマッチぶりが心地よい。
 第4楽章はプレスト。弦のユニゾンが猛スピードで疾走する。
 第5楽章は、ヘ長調のアダージョで、「ラメンタツィオーネ(悲しみ)」という副題が付されている。ヴァイオリンが息の長いメロディーを歌っていると、金管が突然ファンファーレを奏でる。
 第6楽章はプレスティッシモで、わずか1分半ほどしかない。最初にハ長調の和音が3回。その後12小節すすんだところで突然の休止。そして、ヴァイオリンのそれぞれの弦をチューニングするような重音。あれあれ?と思っていると、ハ長調の音階を上行型で「レミファソラシド」と何度も示す。あっけらかんと、さわやかに全体を締めくくる。
 
   作曲年代 1774年
 初  演 1774年11月
 楽器編成
オーボエ2、ファゴット1、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦5部
 
 
 
コダーイ・ゾルターン(1882-1967)
ガランタ舞曲
 
 ガランタは、コダーイが幼年期に過ごした町である。ウィーンとブダペストを結ぶ街道沿いにあって、15世紀からエステルハージ家の私有都市だった。現在はスロヴァキアになっており、首都ブラチスラヴァから東に約50キロに位置している。
 この《ガランタ舞曲》は、ブダペスト・フィルハーモニック協会の創立80周年記念のために作曲された。この協会は、ショパンやシューマンと同い年のハンガリー人作曲家フェレンツ・エルケル(ハンガリー国歌の作曲者)が1853年に設立した組織で、ハンガリーで最も古いオーケストラである。ハンガリー国立歌劇場の専属としてオペラ公演を担うだけでなく、ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団としても名高い。つまり、国を代表するオーケストラの記念として作曲された訳である。そして1933年といえば、1月に隣国ドイツでナチスが政権をとっている。そのような背景の中、コダーイはヴェルブンコシュという、18世紀の終わりから19世紀の中ごろにかけてハンガリーで広く受け入れられた舞曲のスタイルや、ジプシーの音楽のスタイルを合わせて、《ガランタ舞曲》を作曲した。1800年代初めに出版された『ガランタのジプシー音楽集』という作品集から素材をとったらしい。現在のガランタの人口は約1万5千人で、その内訳は約6割がスロヴァキア人、4割弱がハンガリー人、そして約1パーセントがロマとなっており、現在でも複数の文化が混在していることが見受けられるが、19世紀はじめには、ロマの楽師がさかんに活動していたらしい。
 
 作品は15分ほどで、大きく2部に分けられる。前半は序奏、A、B、A、C、A、後半は一気に速くなり、D、E、F、A、コーダとなる。序奏は力強いチェロで始まる。そのチェロのメロディーは、様々な楽器で繰り返されて、まるで全体の「助走」をしているかのようだ。Aはクラリネットのメロディーが特徴的。Bはフルートの軽やかなもの。Cは少しコケティッシュ。後半のDはとても速い舞曲で、そのあとのEは少しテンポが落ちて優雅な雰囲気。けれどそれは束の間で、Fではどんどん盛りあがって頂点を形成する。最後に少しAが戻ったかと思えば、再び高揚して全曲が閉じられる。
 
   作曲年代 1933年
 初  演
1933年10月23日。エルンスト・フォン・ドホナーニ指揮、ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団。ブダペスト国立歌劇場にて。
 楽器編成
フルート2(うち1名はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、ティンパニ、トライアングル、
小太鼓、鉄琴、弦5部
 
 
 
アントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)
交響曲 第7番 ニ短調 作品70
 
 1884年、ドヴォルザークはロンドン・フィルハーモニー協会の招きで初めてロンドンを訪れた。ヨーロッパ全体の音楽状況は常時共有されていたため、ドヴォルザークはロンドンでも有名であったが、本人が行くのは初。フィルハーモニー協会でドヴォルザークの作品が演奏されたのも、その年の2月21日のシーズン幕開けの演奏会で《スターバト・マーテル》から第9曲「焼かれ、焚かれるとはいえ」が演奏されたのみであった。つまり、話題の作曲家のセンセーショナルな登場となった初訪英だったのである。このシーズンの第3回定期演奏会である3月10日、序曲《フス教徒》、交響曲第6番、スラブ狂詩曲第2番の3曲が演奏された。もちろん大成功である。そしてフィルハーモニー協会はドヴォルザークに新作交響曲を委嘱する。それが、この第7番である。作曲は1884年12月13日に着手され、1885年3月17日に完成した。初演は4月22日のロンドン・フィルハーモニー協会の第4回定期演奏会で行われた。
 
 さて内容だが、所謂「国民楽派」が台頭する機運にあって(自らもそう称されるのだが)、民俗色を出すことと芸術音楽としての在り方との両立で悩んでいたようだ。上記の初訪英の際も、「チェコの作曲家」として期待されていたのが現実である。また、1883年12月に初演されたブラームスの交響曲第3番からの影響が指摘されていることからも、構築美を追求することに腐心していたことは明らかだが、それ以上に、初演の場である「ロンドン」を意識し、「国際的に活躍するチェコ作曲家像」を意識していたのではないかと私は想像する。
 
 第1楽章 : アレグロ・マエストーソ、ニ短調。ソナタ形式で綿密に構成されている。初訪英の際に成功を収めた序曲《フス教徒》で使われた、上行と下行のモチーフが繰り返される。
 第2楽章 : ポコ・アダージョ、ヘ長調。コラール風の旋律で始まる。木管楽器と弦楽器がメロディーを歌い継ぐ。中間部のホルン・ソロは、ブラームスの交響曲を彷彿とさせる。
 第3楽章 : スケルツォ、ヴィヴァーチェ、ニ短調。ボヘミアの舞曲「フリアント」が用いられている。3拍ずつに区切られた2拍子のリズムを、2拍ずつに区切った3拍子へと読み替える「ヘミオラ」の手法が効果的。旋律が多く出てきて、多声的なおもしろさもある。
 第4楽章 : フィナーレ、アレグロ、ニ短調。増2度音程(隣り合った音を更に半音広げる)が厳しさを表現する。ソナタ形式で、第一主題は暗く、力強いが、第二主題は長調で民謡風のあたたかいもの。壮大な曲の終わりは長調に変わり、アーメン終始で閉じられる。
 
   作曲年代 1884年12月13日から1885年3月17日
 初  演
1885年4月22日。ドヴォルザーク本人指揮。ロンドン、セント・ジェームズ・ホールにて。楽器編成
 楽器編成
フルート2(うち1名はピッコロ持ち替え)、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、
弦5部
 
 
小石かつら(音楽学)
 
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