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2018年度 特別演奏会 曲目解説

 
 
感動の第九

 
2018年12月27日(木)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466
 
 モーツァルトは生涯にクラヴィーア(いわゆるピアノ)を独奏楽器とした協奏曲を27曲(断片はのぞく)作曲した。そのうちの25曲が長調で書かれており、短調の曲はわずか2曲だけ。そのひとつが今夜演奏される第20番(もうひとつはハ短調 24番K.491)である。
 曲は、第1楽章冒頭からオーケストラの奏でるシンコペーションのリズムに対して、独奏ピアノがチェロとコントラバスに支えられて、この動きに逆らうように4度上行する短い音型を何度か繰り返す。繰り返すうちに音域は次第に上昇し、もうこれまで、というところでフルートとオーボエが例のシンコペーションのリズムを刻みながら下行してくる。この対比が聴く者の耳を捉え、意識を音楽の中に吸い寄せる。
 続く第2楽章では、まず独奏ピアノが実に美しい主題を奏で、次にオーケストラがその主題を引き取り、やがて二つの音響体が合体して音楽全体を膨らます。
 それまでの協奏曲が独奏楽器とオーケストラの音響的対比、あるいはオーケストラが単なる伴奏的な立場に置かれていたのに対し、このニ短調のピアノ協奏曲では、当時の社交的な音楽の有り様から脱して、独奏楽器とオーケストラのより積極的でより深い感情表現を、そして両者の深い対話を目指し、それを(特に第3楽章で)実現させたのであった。その結果、この曲はモーツァルトのピアノ協奏曲のなかでも、最も高い人気を獲得し、モーツァルトの死後今日に至るまで、その人気を持ち続けている。
 例えば、ベートーヴェンはこの曲を自分自身で弾くために独自のカデンツァを作曲し、ブラームスも彼らしいカデンツァを書いていたという事実からも、モーツァルトが残した遺産の大きさを計り知ることができよう。
 
第1楽章:アレグロ、ニ短調、4分の4拍子 協奏的ソナタ形式
第2楽章:ロマンス、変ロ長調、4分の4拍子(この協奏曲中、最も魅力的で美しい)
第3楽章:アレグロ・アッサイ、4分の4拍子 ロンド・ソナタ形式
 
  作曲年代 1785年2月10日
 初  演 1785年2月11日、 ウィーン。初演を聴くためにザルツブルクからやってきた父親レーオポルトは「よかった、素晴らしかった」という感想を残している。
 楽器編成
独奏ピアノ、フルート、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦楽5部
 
 
 
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)
交響曲 第9番 二短調 作品125 「合唱付き」
 
 ベートーヴェンが残した9曲の交響曲のうち、およそ最後の《第九》ほど劇的で人の心に強く訴える力に満ち、聴く者を感動に導く作品は無いだろう。壮麗な管弦楽の響き、簡潔でしかも力強く堂々とした主題は、聴く者の心を掴んで離さない。
 例えば、第1楽章は主題の提示部、展開部、再現部、そして結尾部の4部分から成る古典的なソナタ形式だが、第1楽章冒頭は最弱音でホルンと弦楽器が空虚5度(ドミソのミにあたる音が欠けているので、長調とも短調とも受け取れる)を奏で、茫漠として、しかも緊張した印象を聴く者に与え、これからどんな音楽が繰り広げられるのか、ドキドキしていると、突然、音楽は最強音に転じて、雷にあったかのようにバラバラと一気に下降し、聴く者の度肝を抜く。このようなダイナミズムが全曲を通して聞こえてくることになる。
 また、第4楽章に声楽が堂々と入ってくるきっかけはそもそも何だったのか? 実はベートーヴェンがまだ故郷のボンにいた若い頃、彼はシラーの詩と出会い、その人類愛に満ちた内容に深く共鳴し、いつかはその詩に曲をつけようと思っていた、と言われている。その思いが最晩年(初演の3年後にベートーヴェンは亡くなった)になって、ようやく実現したのだった。
 《第九》が完成した時、第4楽章にはシラーの詩が導入され、4部の独唱を含む混声4部合唱とオーケストラから成る大曲となっていた。これによって、《第九》はそれまで古典派が追求し、実現させてきた交響曲という器楽の世界を大きく塗り替えることとなった。それは、19世紀後半にブルックナーやマーラーの世界に繋がってゆくことになる。
 
第1楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ウン・ポーコ・マエストーソ ニ短調 4分の2拍子
第2楽章:モルト・ヴィヴァーチェ ニ短調 4分の3拍子 スケルツォ
第3楽章:アダージョ・モルト・エ・カンタービレ 変ロ長調 4分の4拍子
第4楽章:プレスト → アレグロ・アッサイ → マエストーソ、その他。
               ニ長調→ト長調→ニ長調
               4分の4拍子 → 8分の6拍子 → 2分の3拍子 → 4分の4拍子
 
   作曲年代 1822年初頭から1824年初頭にかけて
 初  演
1824年5月7日。ウィーンの宮廷劇場(ケルントナートーア劇場)にて
 日本初演 1918年6月1日。四国の板東俘虜収容所に収容されていたドイツ人捕虜による(今年はこの初演以来、丁度100年目にあたる!)
 指   揮 ベートーヴェン
 楽器編成
ピッコロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニ、トライアングル、シンバル、大太鼓、弦楽5部
ソプラノ・アルト・テノール・バリトン独唱、混声四部合唱
 
(C)髙橋 浩子(音楽学)(無断転載を禁ずる)
 
 歌詞対訳(C)鶴間 圭  (無断転載を禁ずる)
 
 
                
 
 
 
 
 
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