大阪交響楽団 2017年度 定期演奏会 曲目解説

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第220回 定期演奏会   7月20日(金)
人物相関図
川瀬賢太郎
木澤佐江子 上村智恵
北野加織 黒田まさき

 
2018年7月20日(金)19時00分開演 
 
 
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)
交響曲 ニ長調 K.320(セレナード第9番「ポストホルン」の交響曲稿)
 
 モーツァルト(1756~1791)は交響曲を約50曲作曲したのに加え、オーケストラのためのセレナードも8曲ほど作った。セレナードとは一般的には夜、女性のいる窓辺で男性が歌う愛の歌を意味するが、18世紀半ば以降のヨーロッパでは歌のない、比較的自由な形式による多楽章の器楽合奏曲が盛んに作られ、セレナード、カッサシオン、ディヴェルティメントなどと称された。これらのなかではディヴェルティメントに室内楽的な傾向があるのに対して、セレナードには交響楽的な方向性が強い。これらは一種の娯楽音楽として野外で演奏されることが多く、ザルツブルグでも人々の日常生活にとけこんでいた。そのため気軽に楽しめる軽い曲調のものが少なくない。
 本日演奏される交響曲ニ長調K.320(全3楽章)は、全7楽章から成るセレナード第9番「ポストホルン」K.320の第1、5、7楽章と同じ曲から成立している。つまりK.320には交響曲とセレナードの2つがあるわけで、これはモーツァルト自身がそのように「再利用」した結果である。どちらが先に初演されたかは不明だが、ほぼ同時期の完成、初演と推定される。セレナード第9番「ポストホルン」K.320には1779年8月3日に作曲されたと記されており、交響曲ニ長調はセレナード第9番の交響曲稿という位置づけだ。
 セレナード第9番は全7楽章あるため演奏時間は約40分。それに対して交響曲版(3楽章)は約20分の簡潔な構成であることから、当時はセレナードとしてよりも交響曲としての方が数多く演奏され、知名度も高かった。モーツァルトの死の翌年、1792年に出版されたときも交響曲(3楽章)としての出版だった。これは第2次大戦後の「新モーツァルト全集」で管弦楽曲第7巻に収録されている。
 セレナード第9番の方は当時、郵便馬車に用いられた簡易なポストホルンを第6楽章に使っていることから、「ポストホルン」のニックネームを持っている。演奏会では郵便配達人に扮した奏者が実際にポストホルンを吹きながら登場するといったサービス満点の演出が行われることがあり、その第6楽章を含めた4楽章版の交響曲として演奏されることもあるが、本日は3楽章版のためポストホルンは用いられない。
 このK.320は、モーツァルトのザルツブルグ時代の最後を飾る傑作のひとつである。直前の1777年から78年にかけて行ったマンハイム・パリ旅行で、特にマンハイム楽派の新しい音楽様式から大きな刺激と影響を受けたモーツァルトは、感情の大胆な表出や躍動感など、新境地の表現力を豊かに開花させている。

第1楽章:アダージョ・マエストーソ~アレグロ・コン・スピーリト、ニ長調、4分の4拍子。
第2楽章:アンダンティーノ、ニ短調、4分の3拍子。
第3楽章:プレスト、ニ長調、2分の2拍子。
 
●作曲年代  1779年
●初  演
 〔交響曲稿〕不詳(推定1779年)
●楽器編成
オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ、弦五部
 
 
 
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)
楽劇「ばらの騎士」より 抜粋
 
 
 リヒャルト・シュトラウス(1864~1949)が作曲した全15作のオペラのなかで、今日まで最も数多く上演され、広く親しまれている名作といえば、オペラ作曲家としての名声を確立した「サロメ」(1905、オペラとしては3作目)と5作目のオペラ「ばらの騎士」(1911)を措いてない。前者は激烈な悲劇オペラ、後者は優雅な喜劇オペラと、ごく対照的な2作品が代表作というところに、この作曲家の表現力の幅広さがある。
 「サロメ」に続く4作目のオペラは、これも激しく悲劇的な「エレクトラ」(1909)だった。それを台本作者フーゴー・フォン・ホフマンスタール(1874~1924)の協力で作曲したR.シュトラウスは、明るく楽しいオペラを書きたくなり、「次はモーツァルト・オペラを書く」と公言、台本を再びホフマンスタールに依頼した。2人で構想を練り、台本が部分的にできたそばから作曲もほぼ同時進行で進められた。
 「ばらの騎士」における愛と官能の喜劇、無頼漢を皆で懲らしめる、といった内容がモーツァルトの「フィガロの結婚」に由来する設定であることは誰もが認めるところだろう。元帥夫人マルシャリンは伯爵夫人ロジーナ、オクタヴィアンはケルビーノ、懲らしめられるオックス男爵はアルマヴィーヴァ伯爵の生まれ代わりだ。そのようにして古き良き時代(18世紀)のウィーン貴族社会の恋愛喜劇が、R.シュトラウスの手で20世紀初頭によみがえったのである。
 音楽面の最大の特徴は、ウィンナワルツが全曲を通してふんだんに用いられ、格調のある陽気な雰囲気を醸し出していることだろう。3管編成の大オーケストラは色彩感に富み、劇的効果、心理表現などにも優れた手腕が発揮されて魅力的だ。
全曲は全3幕、約3時間半の長編だが、本日はそのなかから5つの場面を抜粋して演奏する。
 
1.第1幕冒頭:元帥夫人マルシャリンの寝室、朝。夫が不在の夜、マルシャリンは17歳の青年貴族オクタヴィアンと愛の一夜を過ごした。ベッドで愛の余韻にひたりながら別れを惜しむ2人。開幕冒頭からベッドシーンという設定は型破りで非常に刺激的だが、官能性を一方的に強調するのでなく、うしろめたさや不安感、2人の年齢差などといった複雑な感情が入り乱れる様子が、緊迫感を伴いつつ表現される。
 
2.第1幕元帥夫人マルシャリンのモノローグ:オックス男爵の予期せぬ登場、オクタヴィアンの女装、謁見式といった変化に富んだ場面の後、人々が退場して一人になったマルシャリンは長いモノローグを歌う。自分の若かったころに思いをはせ、同時に今の年齢を考えて感傷的にもなる。部屋に戻ってきたオクタヴィアンに「いつかあなたも私を捨てて若い女性を愛するようになる」といい、今は夫人に夢中のオクタヴィアンを困惑させる。
 
3.第2幕ばらの騎士の登場~2重唱:オックス男爵が結婚することになっている若い女性ゾフィーの家。結婚のしるしとして銀のバラをとどける役目を依頼されたオクタヴィアンが、「ばらの騎士」としてうやうやしく登場。次いでオックス男爵も姿を現すが、態度があまりに粗野で横柄なのでゾフィーは失望し、怒りを隠せない。オクタヴィアンとゾフィーは2人だけになったすきにお互いに惹かれあっていることを確かめ合い、愛の2重唱を歌う。
 
4.第2幕オックス男爵のワルツ:オックス男爵とオクタヴィアンは決闘となり、オックスが軽いケガをする。一度はわめきたてたオックスだが、逢引きに誘う恋文を受け取り、ワナとも知らずに上機嫌になってワルツを口ずさむ(本日はオーケストラのみ)。
 
5.第3幕3重唱~2重唱:料亭の一室、夜。オックス男爵とゾフィーの結婚を破談にしようとする陰謀がこれでもかとばかりに繰り広げられて大騒ぎ。元帥夫人のとりなしで、男爵はほうほうの体で料亭を去る。オクタヴィアンとゾフィーは愛を確かめ合い、それをみた元帥夫人は2人の愛を認め、自分は身を引く決心をする。恋の三角関係ではあるが、元帥夫人の節度と品格、若い2人の恋の喜びが美しく高まって幕となる。
 
 
●作曲年代  1909年5月~1910年9月
●初  演
 1911年1月26日。指揮:エルンスト・フォン・シューフ、演出:マックス・ラインハルト。ドレスデン宮廷歌劇場(現:ザクセン州立歌劇場)にて。
 
日本初演は1956年、都民劇場主催で出演は二期会(現・東京二期会)による。
●楽器編成
フルート3(1名はピッコロ持ち替え)、オーボエ3(1名はイングリッシュ・ホルン持ち替え)、クラリネット3、バス・クラリネット(バセット・ホルン持ち替え)、ファゴット3(1名はコントラ・ファゴット持ち替え)、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、バス・テューバ、ティンパニ、大太鼓、シンバル、トライアングル、タンブリン、
グロッケンシュピール、中太鼓、小太鼓、カンパネラ、カスタネット、チェレスタ、ハープ2、弦五部。

 
全曲上演の場合はバンダ、歌手19人、合唱、児童合唱を含む。舞台上演では助演者も。
 

 (C)  関根礼子(音楽評論家)(無断転載を禁じる)
 
 
 
川瀬賢太郎写真 (C)Yoshinori Kurosawa
 
 
 
 
 
 
                                     
 
 
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