大阪交響楽団 2017年度 定期演奏会 曲目解説

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第212回 定期演奏会   9月21日(木)
ダニエーレ・アジマン
尾崎比佐子 福原寿美枝
松本薫平 萩原寛明

 
2017年9月21日(木)19時00分開演 
 
ジュゼッペ・ヴェルディ(1813- 1901)
死者のためのミサ曲「レクイエム」
 
 ヴェルディの≪レクイエム≫は、コンサートホールでの演奏こそ似合う。死者のためのミサ曲である≪レクイエム≫。音楽の一ジャンルとして発展するにつれて形式も自由になる。従来のように典礼文に沿って構成されていたのとは、形式も音楽スタイルも異なる形になっていったのだ。ヴェルディの≪レクイエム≫は、まさにそうした教会の儀式や典礼といったスタイルに則ることなく、まさに教会での演奏を前提としない教会音楽として、「人間の魂の叫び」を描いた作品ともなった。
 この作品が誕生するまでには経緯がある。1868年11月13日にジョアッキーノ・ロッシーニが亡くなった。「偉大な名がこの世から消えた」とその死を大いに嘆いたヴェルディは、出版業者であるリコルディに複数のイタリア人作曲家達と共同で≪レクイエム≫を作曲、ロッシーニの1周忌に初演することを提案する。ヴェルディは「リベラ・メ」の部分を作曲したものの、その他の作曲家達の作曲が遅れたり、予定されたボローニャでの初演は条件があわなかったりと、結局演奏されることはなかった。
 その後、既に数々の名作オペラを世に送り出し続けてきたヴェルディは、1871年に行われた≪アイーダ≫の初演以降、約15年にわたりオペラ作曲では沈黙を続ける。次作である1886年の≪オテロ≫を作曲するまでの期間に、あることをきっかけにして、再び声楽作品作曲の筆をとる。
 1873年5月22日、ヴェルディが敬愛していた作家アレッサンドロ・マンゾーニが亡くなる。前回に懲りたのか、ヴェルディが単独で≪レクイエム≫を作曲。一周忌にあわせ、自身の指揮で初演する。オペラ作品作曲の狭間に、極めて劇的な要素の強い作品が生まれたのである。
 ミラノのサン・マルコ教会で行われた初演では、ヴェルディ自身の指揮で、オーケストラと合唱団が音の大伽藍を作りだし、続く数日間にミラノ・スカラ座で3回の再演も行われた(スカラ座では最初の一回だけヴェルディが指揮した)。
 今日、三大レクイエムと言われるのはモーツァルト、フォーレの作品と、このヴェルディのレクイエム。だが、中でも最も劇的な作品が本作だとも言える。ヴェルディが描きだしたのは、「芸術の偉大さ」や、当時国家としての姿を固めつつあった「イタリアの栄光」であり、「人々が謳歌すべき自由」である。宗教劇でもなく、オペラでもない形で、ヴェルディが愛し求めるものへの讃歌が作りあげられたのだ。本日は、この大作にソプラノ、アルト、テノール、バスの各独唱者を共演に迎えて、オーケストラと合唱で演奏される。

 
◆第1曲 レクイエムとキリエ Requiem e Kyrie
(ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バス、混声合唱)
「永遠の安息と憐れみを」と静かな祈りが捧げられる。

 
◆第2曲 怒りの日 Dies iræ
第2曲は複数の部分で構成されていて、独唱者がそれぞれの感情を歌う中、冒頭の「怒りの日」では、猛々しい人間の声がオーケストラの大音響と共に聴く者に襲いかかる。この激しいモティーフが各部を繋ぐように随所に登場して、この作品の大きな特徴を成す。
    ⅰ.怒りの日 Dies iræ(混声合唱)
    ⅱ.驚くべきラッパが Tuba mirum(混声合唱)
    ⅲ.死も自然も驚くだろう Mors stupebit(バス)
    ⅳ.すべてを記した書物が Liber scriptus(メゾ・ソプラノと混声合唱)
    ⅴ.憐れな私は何と弁明すれば Quid sum miser
       (ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール)
    ⅵ.大いなる王よ  Rex tremendæ
       (ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バスと混声合唱)
    ⅶ.思い起こして下さい Recordare(ソプラノ、メゾ・ソプラノ)
    ⅷ.私は嘆息します Ingemisco(テノール)
    ⅸ.黙らせるとき Confutatis(バス、混声合唱)
    ⅹ.涙の日 Lacrymosa
       (ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バスと混声合唱)
 
◆第3曲 奉献唱 Offertorio
(ソプラノ、メゾ・ソプラノ、テノール、バス)
チェロの分散和音と木管楽器に導かれて始まるソリストによる四重唱が美しい旋律を重ねていく。

 
◆第4曲 聖なるかな Sanctus
(二重混声合唱)
トランペットのファンファーレで開始、合唱による二重フーガが壮麗に展開される。

 
◆第5曲 神の子羊 Agnus Dei
(ソプラノ、メゾ・ソプラノと混声合唱)
ソプラノとメゾ・ソプラノの二重唱が合唱とオーケストラと共に、美しい歌を紡ぎ出す。

 
◆第6曲 永遠の光で Lux æterna
(メゾ・ソプラノ、テノール、バス)
ヴァイオリンのトレモロとメゾ・ソプラノ独唱で始まり、テノールとバスが加わって、三重唱で進んでいく。

 
◆第7曲 私を解き放って下さい Libera me, Domine
(ソプラノと混声合唱)
もともとはロッシーニの一周忌のための幻の合作≪レクイエム≫の一部として作曲された。ここでも「怒りの日」の激しいモティーフが再び現れ、最後はソプラノ独唱と合唱により、本作品の「静」と「動」の特徴に満ちたクライマックスを迎える。
 
 
●作曲年代  1873年~1874年(一部は1868年~1869年、および1875年)
●初  演
 1874年5月22日。ヴェルディ自身の指揮。ミラノ、サン・マルコ大聖堂。 
●楽器編成
 独唱4人:ソプラノ、メゾ・ソプラノ(アルト)、テノール、バス。混声合唱。フルート3(ピッコロ1持ち替え)、
オーボエ2、クラリネット2、ファゴット4、ホルン4、トランペット4、トロンボーン3、チンバッソ、ティンパニ、
バス・ドラム、弦五部、バンダ(トランペット4)
 

 (C)  石田 麻子(舞台芸術政策研究)(無断転載を禁じる)
 
 
石田 麻子 (舞台芸術政策研究)
 
昭和音楽大学教授、オペラ研究所所長、舞台芸術政策研究所所長、学長補佐。文化庁委託「日本のオペラ年鑑」編纂委員長、東京藝術大学大学院音楽研究科オペラ専攻非常勤講師等の他、国の文化審議会文化政策部会委員、(独)日本芸術文化振興会プログラム・オフィサー(音楽)等を務める。東京藝術大学音楽研究科博士課程修了、博士(学術)。
 
 
 
歌詞対訳(C)  三ヶ尻正(無断転載を禁じる)
 
 
ダニエーレ・アジマン写真 (C)luigi angelucci
 
 
 
 
 
 
                                     
 
 
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