大阪交響楽団 2017年度「感動の第九」 シェフからのメッセージ

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2017「第九」シェフからのメッセージ

 
 
特別演奏会【感動の第九】 12月27日(水)
寺岡 清高
寺岡 清高
寺岡 清高

 

2017年12月27日(水)19時00分開演

 

大阪交響楽団主催の年末第九公演は、『感動の第九』と称します。私自身が『感動の第九』を指揮をするのは8年振りですが、この『感動』がミソなんです。人は例えば他人の言葉、あるいは表現などに、自分の感情が動かされて感動するわけですが、ベートーヴェンはそれまで主に教会や王侯貴族のために書かれてきた音楽を、民衆のために自分の言葉で書いた作曲家です。その最もわかりやすい例がこの第九です。
第九にまつわる、よく聞くふた通りの対照的な意見があります。「合唱が始まるまでが長過ぎ。第4楽章だけでいいのに。」と、「第3楽章までは立派なのに、終楽章でぶち壊し。合唱なんて要らないから、もっと辻褄のあった終楽章を作曲して欲しかった。」というものです。どちらの意見もごもっとも。というのも第九は前半の三つの楽章と終楽章の間に、大きな音楽的隔たりがあります。第1から第3楽章までは、同じモチーフを使って統一の計られた、実に立派なベートーヴェン後期の純音楽。対する終楽章は、突然乱入する独唱と合唱による、あまりにも単純なメロディと、ドイツ語(教会音楽のラテン語ではなく、民衆の母国語)の歌詞によるわかりやすい音楽。実はこれ、ベートーヴェンの明確な意図に違いありません。第九のもとになったシラーの原詩は、主に身分制度などによって分け隔てられた人々が「喜び」の魔力によってひとつになる、とうたっています。すべての人にこのメッセージが通じてほしいと願ったベートーヴェンは、あえてこの詩につけるメロディーを誰にでもわかる平易なものにして、前の三つの楽章とはっきりと対照をつけたのでしょう。こうして第九の終楽章は、正に彼の「音楽」がもたらす「喜び」の魔力によって、地域や人種、時代までをも超えて人類をひとつにしてしまいます。
とはいえ合わせて一時間を超える大曲です。まずは第一楽章から第三楽章までの音楽を聴きながら、大雑把で構いませんからそれぞれの楽章の特徴を感じてみて下さい。第一楽章は宇宙の混沌=無からもの凄いエネルギーのかたまりが爆発します。厳しい現実=現世といったらよいでしょうか。その前に我々はなす術はなく、ただ時々憧れを歌うのみです。第二楽章は一転、その現世に戦いを挑むかのような音楽。中間部に微かに聞こえてくる教会の楽器=トロンボーンの音は、楽園=理想郷としての天国の音楽でしょうか?第三楽章は深い慈愛と慰めの音楽。最後の審判のようなトランペットのファンファーレが最後に鳴り響きます。そして嵐のように強烈な不協和音で始まる第四楽章。それまでの三つの楽章のように、憧れるだけで現世には無抵抗、あるいは闘争や慰めのみでは理想郷にいたることはできないということが音楽によって暗示されます。楽園にいたるキーワードは「喜び」と、そこにつけられた平易なベートーヴェンの「音楽」。
ベートーヴェンは本当に言いたいこと、大切なことはpiano(ピアノ)つまり大声ではなくそっと静かな声で伝えようとしました。この曲の最後の「楽園」という部分もピアノで書かれています。今年一年を振り返り、奏者一同様々な想いを胸に演奏致します。皆様もぜひベートーヴェンの曲に込められた多くのメッセージの中から、ひとつでも大切なメッセージを受け止めて頂ければ、第九を演奏する者としてこれにまさる喜びはありません。ベートーヴェンの想いが通じて、本番に多くの感動がありますように。
 
 
常任指揮者 寺岡清高
 
 
 
寺岡清高写真:(C)木村護

 


 

 

 

 
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