≪古典派音楽の神髄≫
2017年10月7日(土)
昼の部13時30分開演/夜の部17時00分開演
初めまして、指揮の田中祐子です。この度は大阪交響楽団さんとの初共演を控え、喜びと緊張に満ちています。
今回ご一緒させて頂くテーマは「古典」。新しい時代に古典的手法で書かれた代表的傑作であるプロコフィエフ「古典交響曲」、モーツァルト作品のスペシャリストである菊池洋子さんとの「ピアノ協奏曲20番 K.466」、後半は「交響曲第41番"ジュピター" K.551」をお届けします。
交響曲第41番には3つの興味深い点があります。①モーツァルトが最後に書いた交響曲であること ②ハ長調 ③通称「ジュピター音型」。特に3つ目の「ジュピター音型」とは4楽章の冒頭の「C-D-F-E(ド-レ-ファ-ミ)」を指しますが、モーツァルトは以前からこの音型を多用しており「ミサ・ブレヴィス ハ長調 K.115」や「交響曲第33番 K.315」等、少なくとも10作品にはジュピター音型が使われているのではないかと言われています。愛着のあった音の並びを、彼は晩年のソナタ形式で、ハ長調で、どう「拡大」したのか。特に4楽章のコーダでは小さな楽器編成とは裏腹に、無限大の広がりを見せます。私はこれまで幾度となく演奏の機会を頂いてきましたが、指揮台から見えるコーダの景色は、力強さと神秘さが共存し、この為に生きているんだと思わせてくれるほど美しい瞬間です。人類には自由と平等が与えらるというフリーメーソンのメッセージすら深読みしてしまいます。
菊池洋子さんとは今回が初めての共演となりますが、20番はピアノ協奏曲の中で最も愛された作品の一つであり、第1番〜第27番中のたった2曲しかない短調の作品としても有名です。モーツァルトにとって短調とは一体何を意味していたのでしょうか。どうして2曲に留めたのでしょうか。今回は演奏を通して菊池さんからそのお考えを聴けるのが今から楽しみで仕方がありません。
大阪交響楽団さんの演奏を初めて聴いた時、奏者お一人お一人から溢れ出す音楽、時に室内楽的で臨場感溢れる息遣い、そして透明感に釘付けになりました。もしご一緒できる日が来たら、その最初は「古典作品」でと切望していました。期待で一杯です。
お客様と会場にてお会いできるのを楽しみにしております!
田中祐子