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長島喜一郎コラム

 

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第15回 ハイドン 交響曲の父?
2019-03-01
 ハイドンは58歳までエスターハージー侯爵の楽長を務めました。彼の凄さは、情報が少なかった時代に、演奏旅行をしたわけでもないのに、曲のすばらしさだけでヨーロッパ中で知られるようになったことです。ハイドンは100曲以上の交響曲を作曲して、このジャンルを確立しました。しかし彼を交響曲の父と教えているのはおそらく日本だけと思います。今回は彼の後期の交響曲から、その題名の由来を見てみましょう。
 交響曲第82-87番『パリ交響曲』:パリの演奏団体コンセール・ド・ラ・ロージュ・オランピックからの注文で書かれた作品です。パリの聴衆が愛称をつけました。
 82番『熊』:第4楽章冒頭の前打音を伴ったバスの低音が熊のうなり声を連想させたため。
 83番『めんどり』:同じく前打音を伴った第1楽章第2主題がめんどりの声を連想させたことによります。
 85番『王妃』:マリー・アントワネットが好んだため。
 88番『V字』:英国の出版者ウィリアム・フォルスターがハイドンの交響曲23曲のカタログを作る際にアルファベットを使い、この曲はVだったそうです。この交響曲のVのみ生き残りました。筆者は幼い頃初めて『V字』というタイトルを見て、「不思議な名前だなあ。どんな意味があるのだろう。」と思った覚えがあります。でも特に意味はありません。
 92番『オックスフォード』:1791年7月、ハイドンはオックスフォード大学から名誉博士号を授与されました。この交響曲はシェルドニアン劇場で催された記念演奏会で演奏されたと伝えられています。しかし近年の研究で確実ではないとされています。
 交響曲第93-104番『ザロモン交響曲』『ザロモン・セット』『ロンドン・セット』:1790年9月、長年仕えてきたニコラウス・エスターハージー侯爵が亡くなり、後を継いだアントン侯は音楽の趣味がなかったので楽団は解散となりました。年金をもらって自由な身となったハイドンは、ヴァイオリン奏者で興行師ザロモンの誘いで、2回にわたりロンドンへ演奏旅行(1791-2, 1794-5)に出かけました。交響曲第93番から第104番まではロンドンで初演されました。
 94番『驚愕』:ハイドンの交響曲で最も知られた曲かもしれません。いびきをかいて寝ている人たち、ざわついて集中していない聴衆を驚かすために、静かな第2楽章アンダンテで一撃が加えられました。ディース(注)によると、驚きのあまり失神した婦人がいてハイドンは非難されたそうです。
 96番『奇跡』:やはりディースの伝えるところによると、ある交響曲の初演の際に平土間のシャンデリアが落ちたが、聴衆がハイドンを見るため前方によっていたため大事故になりませんでした。そのため「奇跡だ!」と称えられ、この題名が付きました。ディースがハイドンに質問した1805年にはウィーンまでこの話が伝わっていたようですが、ハイドンの答えは「それについては知らない」でした。近年の研究で102番の初演の際にシャンデリアが落ちて中断があったとされています。どうして96番のことになったのかは不明です。
 100番『軍隊』;第2楽章でトルコ軍を連想させるトライアングル、シンバル、バスドラムが使用され、終わりにトランペットのソロが出て来るためです。
 101番『時計』:第2楽章の規則正しい伴奏が時計の振り子を連想させることから付きました。この第2楽章冒頭は、その昔『百万人の英語』というラジオ番組のテーマ曲でした。この小文をお読みの皆さんの中にもお聴きになった方がいらっしゃることでしょう。
 103番『太鼓連打』:冒頭と第1楽章終わり近くで太鼓がトレモロを奏でます。本来は変ロ音をドロドロと敲く指定ですが、最近ははでにアドリブが加えられることがあります。
 104番『ロンドン』:第93番以降はすべてロンドンで作曲されたので、すべてロンドンとしていいはずですが、特にこの曲に付きました。ハイドンの交響曲を締めくくる壮大な曲です。
 
注:アルベルト・クリストフ・ディース:ハイドン 伝記的報告
音楽之友社 1978
 
左から
写真1:ハイドンの家(1766-78)/Joseph Haydn-Gasse 19/21,Eisenstadt
写真2:ハイドン最期の家/ウィーン6区 Haydngasse 19
 
 
音楽ジャーナリスト 長島 喜一郎
「プログラム・マガジン」2019年1・2・3月号掲載
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