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2015年度 特別演奏会 曲目解説

 
 
感動の第九
第9交響曲の家(博物館)
交響曲第9番完成の家

 
≪感動の第九≫
 
2015年12月28日(月)19時00分開演
 
ザ・シンフォニーホール
 
 
第九を歌うって難しい
〜ベートーヴェンの理想と現実〜

音楽ジャーナリスト  長島 喜一郎
 
 
 ウィーン近郊の温泉町バーデンに、ベートーヴェンが交響曲第9番を作曲した家が残っています。彼は例年夏になるとウィーンの近郊に避暑して創作に励みました。ここは2階すべてが博物館となっていて、毎年多くの人が訪れます。またベートーヴェンが1823/24年の冬を過ごしたウィーン・ウンガーガッセの家も現存していて、銘板が掲げられています。ウィーン人にとっても、そこで第九が完成したことは誇りなのでしょう。
  毎年、12月になると各地でベートーヴェンの交響曲第9番が演奏されます。今年は全国で何回の演奏会が開かれることでしょうか。その昔これを演奏すればお客が入るからと、楽団の冬のボーナス支給のために始められたものなのですが、今や冬の代名詞となりました。日本人がこれほどまでに第九を愛していることを、草葉の陰でベートーヴェンは大いに嬉しく思っているに違いありません。
 第4楽章ですべての人々は皆兄弟になると歌い上げるこの交響曲の主役は、何と言っても合唱団です。多くの合唱団員にとって、第九は一度は歌ってみたい曲です。今日会場に足を運ばれたお客様の多くは歌った経験がないと思われますので、その内情をお話しますと、実はこの曲はとても歌い難い曲なのです。たとえば冒頭のバスのソロに続くアルト、テノール、バスの合唱。Deine zauber binden wieder,…と、同じ旋律(ユニゾンと言います)を全員で歌っているだけに過ぎないと思われがちですが、問題はテノールstrengeteilt, alleの部分で、ベートーヴェンはオクターブの上昇と下降で音符を書いています。テノールが歌えない声域を回避するための処置とはいえ、歌いにくいこと極まりなく、効果があるともいえません。後半行進曲調のテノール・ソロと全員で歌う歓喜のテーマFreude, schöner Götterfunken の後、596小節からのテノールとバスによるSeid umschlagen, Millionenは、バスにとって高音が続きます。ベートーヴェンはバスの重たい声を欲したのでしょうが難しく、多くのバスがテノールだけにしてくれればよかったのにと思う箇所です。650小節からはソプラノが高いソの音、アルトがミの音をピアニッシモで歌います。和音が不安定で音が取りにくく、ソプラノが低くアルトが高くなってしまいがちにもかかわらず、ピアニッシモなのでなおさら大変です。それに後655-762小節は歓喜のテーマとSeid umschlagenが二重フーガを繰り広げますが、その中で717小節からソプラノは今度はフォルティッシモで13小節も高いラの音を持続しなくてはなりません…
 声楽曲の場合、作曲家は声の限界を考えて作曲するのですが、ベートーヴェンは第九やその直前の大作ミサ・ソレムニスの頃になると、頭の中で響いた理想の音をそのままに、声部も純器楽的に書きました。その結果ある意味声楽の限界を超えてしまったといえるで しょう。大変な曲であることが少し分って頂けましたでしょうか?  つまり合唱団は常に限界を超えて全力投球で歌わなければならないわけです。挑戦し続ける合唱団に大きな拍手をお願いします。
 
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