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2013年度 定期演奏会 公演批評

2013年度 定期演奏会 公演批評
 
第183回 定期演奏会
第183回 定期演奏会
第183回 定期演奏会
第183回 定期演奏会

≪マーラーのライヴァル“部下フランツ・シュミット”≫
2014年2月28日(金)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 常任指揮者の寺岡清高による今回の定期は、2013年度に組まれた“マーラーのライヴァル”全2回シリーズの2回目で、フランツ・シュミットが取り上げられた。前回はハンス・ロットの作品だけでまとめられていたが、今回もすべてシュミットの作品だけのプログラムである。ロットもシュミットもマーラーとほぼ同世代ながら、今日ではマーラーの陰に隠れて、その作品は滅多に演奏されることがない。しかしながらその時代を反映した作品ならではの魅力があると考えた寺岡が、こうした意欲的なプログラムを組んだことには、大いに敬意を払いたい。 今回演奏されたシュミットの作品の中では、少しは知られている作品として歌劇「ノートル・ダム」の“間奏曲”があるが、寺岡は今回、“間奏曲”の前後に「ノートル・ダム」からの“前奏曲”と“謝肉祭の音楽”を置いて演奏した。シュミットの音の扱い、旋律法、和声法などは、独特の個性を持っており、予想外の音の動きや複雑な和声、ポリフォニックな旋律の重ね方などが演奏を難しくしているようで、“前奏曲”“謝肉祭の音楽”はいささか音にすることに追われていたような感がある。ところが“間奏曲”になると書法がそれほど複雑でないことと旋律が明快なこともあってだろう、響きも表情も充実した。比較的この“間奏曲”が良く演奏されるのも、そうしたところに要因があるのかも知れない。 続いて演奏されたのはピアノと管弦楽のための「ベートーヴェンの主題による協奏的変奏曲」だが、これはもともとは第一次世界大戦で右腕を失ったピアニストのパウル・ヴィトゲンシュタインの依頼で作曲されたもので、ピアノ・パートは本来は左手だけで演奏されるものだが、今回は独奏者クリストファー・ヒンターフーバーは両手で演奏していた。おそらくシュミットの弟子のヴューラーがシュミットの許可を得て両手用に編曲した版が使われたのだろう。ベートーヴェンの主題というのは、ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」のスケルツォの主題で、それが実に手の込んだ書法で序奏と12の変奏曲にまとめられている。最初のいくつかの変奏曲はきわめて古典的と言えるものだが、変奏が進むほどに後期ロマン派風の性格変奏になり、変奏技法の確かさを印象づける。しかし全体を聴き通すと、いささか冗長の感も否めない。演奏はしかし、なかなかに充実しており、特にヒンターフーバーのピアノが洗練味を感じさせるセンスの良さで、全体を引き締めることに貢献していたし、オーケストラも良く反応して堅実であった。 最後は交響曲第3番。シュミットは交響曲作曲家として名声を得た人で、全部で4曲の交響曲を残している。最もシュミットらしさが出ているのは第4番とされていると思うが、今回はあえて第3番である。この曲もシュミットらしい、行方を予想しにくいメロディ・ラインが不安感や落ち着きにくさにつながっているように思われるが、演奏は最も充実していたと言ってよい。後期ロマン派風の濃密さが魅力と思えるその音楽は、優美さを保ちながら、徹底して晴朗には成り切れない屈折した感情のようなものが感じられ、かと言って全く暗すぎるわけでもない、どこか中途半端な感じがつきまとう。スケルツォ楽章などは、古典的とも言えそうないかにもスケルツォ風のリズムとメロディが使われていて聴きやすいのだが、交響曲全体を見渡すと、これこそと言える説得力のある魅力が見出せないままで終わったという感じである。とは言え、このように実演にほとんど接する機会がない知名度の低い作曲家の珍しい作品を演奏してくれたことには、大いに感謝しておきたい。                                                
(2月28日・ザ・シンフォニーホール)
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