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2013年度 定期演奏会 公演批評

2013年度 定期演奏会 公演批評
 
第175回 定期演奏会
第175回 定期演奏会
第175回 定期演奏会
曲目
第175回 定期演奏会

 
≪永遠のジュリエット≫
2013年4月12日(金)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 
 定期演奏会3回目の登場となる外山雄三の指揮による第175回は、プロコフィエフ没後60年を記念した《永遠のジュリエット》と題されたもの。
 冒頭に演奏されたのは、作曲家でもある外山自身の最近作である「前奏曲」で、外山が80歳を迎えた記念にヤマハ音楽振興会から委嘱されたという作品。作曲は2012年で、今回はその改訂版の初演となる。5分ほどの短い作品に、コンテンポラリー・ミュージックらしい不協和音や幅広いダイナミクスと、日本的なものを感じさせる柔和なメロディが対比的に盛り込まれ、強いコントラストを生んでいる。そこには80歳を越えたという年齢的なものを感じさせるところは微塵もなく、強烈な意志のようなものが満ちていた。いくつかの楽想が並列的に出現して、アッと言う間に終わった感じで、タイトル通り、さらにこのあとに音楽が続くという印象。演奏も実にエネルギッシュで、とても80歳を越えた指揮者が振ってるとは思えない活力が感じられた。
 続いて演奏されたベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番では、江口玲が独奏。江口の演奏はこれまで何度か、アンサンブルで聴いたことがあり、とても優れたアンサンブル・ピアニストと認識していたが、独奏者として聴くのは第108回定期でのブラームスの第2協奏曲に次いで2度目。相変わらずの達者なテクニックで見事な演奏振りを披露した。本当に技術的には申し分ないのだが、少し音が個性的と言える類の硬質さで、まことに明瞭に鳴っており、オーケストラにマスクされることもない点は良いとしても、堅実さ以上の音楽的な表情と音色の変化に不足するのが惜しい。第1楽章のカデンツァも、聴いたことがないリストのものを採用したあたり、技術的完成度の高さこそ第一義としているのかと思えた。第2楽章の相当遅めのテンポ設定など、何か意図しているものがあるのだろうが、それが音楽的表情として伝わってこなかった。協奏曲での付けの巧さでは定評のある外山をしても、第3楽章でピアノとズレが何度か生じたのは、ピアニストに原因がありそうである。それに対してオーケストラは、低音を豊かに鳴らしたバランスの安定感のある音作りとニュアンス豊かな表情付けで、なかなかに音楽的だった。
 後半は、今回の定期のタイトルに結びつくプロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲から8曲を選んでの演奏。ここでも外山は、ほとんど乱れのないアンサンブルのまとめ方や響きのまとめ方に、まさに職人技と言える力量を示し、実にしっかりとした立派な演奏に仕上げていた。もともと感情過多な表現をする人ではないので、このプロコフィエフなどは最も良く合った曲ということもあるだろうが、それにしても各パートを鮮明に聴かせながら、響きとしてひとつのまとまりと色合いを持たせているあたり、まさに職人技。しかもリズムの切れ味や音楽の流れ方には、高齢の指揮者にありがちな弛緩が少しもないところも驚異的。まさに万年青年の感を抱かせた。個人的にはもう少し表情に濃密なものが欲しいと思えるところがあったにしても、過度の感情移入がないところこそ職人技、と言うかそれこそ外山の持ち続けている美学かも知れない。
(C)福本 健
 
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