大阪交響楽団 2014年度 定期演奏会 公演批評

00612456
 

2014年度

 

2014年度 定期演奏会 公演批評

2014年度 定期演奏会 公演批評
 
第188回 定期演奏会
第188回 定期演奏会
第188回 定期演奏会
曲目
第188回 定期演奏会

 シェイクスピア生誕450年記念【じゃじゃ馬ならし】
≪児玉宏のブルックナーVol.10≫
 
2014年9月19日(金)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 
  児玉宏音楽監督の指揮による今回の定期は、《児玉宏のブルックナーVol.10》とタイトルされており、これまで名演を重ねてきたブルックナーの交響曲シリーズの第10回である。ブルックナーの交響曲は番号付きが9曲あることは周知の通りだが、そのほかに初期の作品として第0番と、それよりさらに前に作曲された第00番があることも、多くの人々に知られていることだろう。すでに第0番から第8番までを演奏してきて、残る2曲のうちの第00番が今回のメイン・プログラムである。それに先立って演奏されたのは、シェイクスピア生誕450年記念に今年度の定期に必ず入れられているシェイクスピアの戯曲に関係した作品として、ヘルマン・ゲッツの歌劇「じゃじゃ馬ならし」序曲、そしてモーツァルトのピアノ協奏曲第15番である。
 結果として大まかに言えるのは、曲によって演奏の出来に大きな差が出たということである。まず冒頭のゲッツの序曲だが、これは日本ではほとんど実演で聴く機会のない曲と言ってよいだろうが、歌劇の内容を暗示するような快活さと抒情性を適宜混ぜ込んだ楽しい曲であるから、活気のある演奏になっているのは良いとしても、いささか威勢が良すぎた感を否めない。とりわけ管楽器群を少々鳴らし過ぎたため、弦楽器とのバランスが悪いところが多かったし、アンサンブルや響きのまとまりも雑さを感じさせた。
 続くモーツァルトも実演で聴くことのなかなかない曲で、注目のピアニスト佐藤卓史が独奏したが、いろいろな点で万全ではなかったという印象を残した。確かに指は良く回るし、きれいな音も持っているのだが、モーツァルトの音楽に欲しい優美さがほとんど感じられなかった。基本的にテンポが速めで、さらに前のめり気味に音を運ぶために、せかせかと落ち着かない音楽になってしまう。緩やかな第2楽章だけは少し音楽的な表情も聴くことができたが、急速楽章は音運びの前のめり過ぎが自分の首を絞めたようなところもあった。そのピアノに対してはオーケストラもただ付けるだけに追われている様子があって、味わいのある演奏にはならなかった。
 しかし休憩を挟んだあとのブルックナーは、楽団が変わったのかと思えるほど、音のふくよかさや響きのまとまりの良さが出てきた。アンサンブルも緻密になっており、これこそ児玉の本来の持ち味が出た演奏と言えるものになった。ブルックナーの本当に最初の交響曲ということで、習作というレッテルを貼られてきたようなところがあり、確かにのちの番号付きの交響曲に聴かれるブルックナーらしさはほとんどない。しかし交響曲としての形態は立派なものだし、何よりブルックナーらしからぬと言えそうな、愛嬌があると言っても良いメロディや重厚過ぎない多彩な響きなどの魅力ある作品と言って良い。これをブルックナーの初期作品と知らずに聴いたなら、とても習作という評価はできないだろうと思える。ブルックナーの重厚さが苦手な人にも、これなら構えずに楽しめる曲と言えるのではないだろうか。そしうた魅力的な作品と感じさせたのも、実は児玉の演奏が、これまでのブルックナー演奏と同様に、まことに充実していたからでもある。こうした味わい豊かな演奏を聴くと、ブルックナーの交響曲シリーズで残すところ1曲、それも第9番が楽しみで仕方がない。
 それにしても、前半と後半の演奏の出来の差はどうしたものだろうか。練習にかけた時間の差が、そのまま演奏に反映されたのだろうか。ちょっと気になるところではある。
(9月19日・ザ・シンフォニーホール)
 
                                       (C)福本 健
 
 
一般社団法人大阪交響楽団
Osaka Symphony Orchestra
〒590-0074
大阪府堺市堺区
北花田口町3-1-15 東洋ビル4F
TEL:072-226-5533
FAX:072-226-5544
 
 
四国支局
〒790-0051
愛媛県松山市生石町
649-11-402
TEL:089-947-4751
FAX:089-934-3577
 
 
201309301658395847.jpg
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
<<一般社団法人大阪交響楽団>> 〒590-0074 大阪府堺市堺区北花田口町3-1-15 東洋ビル4F TEL:072-226-5533 FAX:072-226-5544