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2014年度

 

2014年度 定期演奏会 公演批評

2014年度 定期演奏会 公演批評
 
第187回 定期演奏会
第187回 定期演奏会
第187回 定期演奏会
曲目
第187回 定期演奏会

 シェイクスピア生誕450年記念【リア王】
≪密なる憶い≫ ~キンボーのバルトークシリーズ⑤~
 
2014年7月28日(月)19時00分開演 ザ・シンフォニーホール
 
 昨年まで当楽団の首席客演指揮者を務めていたキンボー・イシイ(これまではキンボー・イシイ・エトウだったが、理由は不明ながら今回からエトウが外されて、シンプルな名前になっている)が、現在はポストから外れてはいるが、緊密な関係を続けており、今回も難しいプログラムで登場した。
 今回のタイトルは「密なる憶い」と題されており、演奏曲目のすべてに叶わぬ恋というドラマが共通している。1曲目はベルリオーズの序曲「リア王」で、これは今年が生誕450年の記念年に当たるシェイクスピアの戯曲に因んだ選曲。これは意外に実演に接する機会の少ない曲だが、今回は充実の演奏だった。特に長い序奏部が充実していた。戯曲の内容を象徴するようなドラマティックな音楽を、強弱のメリハリの効いたダイナミックな表現で聴かせたのだが、とりわけ弱音の幻想的な美しさが印象に残る。これまでのイシイにはなかったと思えるデリケートさである。主部も活気に溢れた勢いのある演奏だが、曲想に応じたテンポの緩急もごく自然に施されており、表情豊かな好演となった。パワフルな強音も騒々しくなく充実した響きだったことも評価したい。
 2曲目は、結局は実らなかったが、バルトークが愛するヴァイオリニストの肖像として書いたヴァイオリン協奏曲第1番。これもほとんど実演に接する機会がない曲で、有名な第2番に比べるとCDもきわめて少ない。それだけ難曲ということだろうし、実際に録音されたものを聴いても、とりとめなくて魅力に乏しいという印象だった。しかし今回の演奏は、そうした経験を覆すほどの名演となった。独奏したのは黒川侑で、愛する人への想いを綿々と語り続けているような第1楽章も、堅実なだけでない情感と確信に満ちた音運びで魅力的に聴かせた。オーケストラも決して簡単な音楽ではないが、ソロに触発されてか、なかなかの好演。活発な第2楽章もシャープな感覚が生きているし、そこに第1楽章にも劣らない表情の豊かさが盛り込まれており、この曲を初めて面白くて魅力のある作品と思わせてくれた。現在はベルギーのブリュッセルを本拠に活動中という黒川、渡欧以前から逸材と思っていたが、さらにその感を強くした。
 3曲目はストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」で、今回は3管編成の1947年版による演奏。前半の2曲がどちらも難易度の高い曲でありながら、充実していただけに、それらの仕上げに時間を取られて、「ペトルーシュカ」にしわ寄せがくるのでは、という心配をよそに、これもなかなかに立派な演奏になった。技術的には前の2曲以上に難しい曲と言えそうだが、管楽器のソロやピアノ(内藤佳有)を筆頭とした各パートが実に堅実に音にしており、音的には大きな問題は皆無。イシイは堅実にまとめ上げたと言ってよく、小細工をしないでストレートに表現したのが良かったようである。全体に少しの迷いもない音の出し方や音楽の進め方が、一種の爽快感も生み出していた。ただ惜しむらくは、ペトルーシュカやバレリーナ、ムーア人のそれぞれの色合いの変化、場面ごとの雰囲気の変化といった点が今ひとつ物足りなかったことだろう。しかし、今回はこれまで聴いた中でキンボー・イシイの最も充実した演奏だったに違いない。
 
(7月28日・ザ・シンフォニーホール)                                (C)福本 健
 
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